独断的映画感想文:山河ノスタルジア
日記:2017年9月某日
映画「山河ノスタルジア」を見る.
2015年.監督:ジャ・ジャンクー.
出演:チャオ・タオ(タオ),チャン・イー(ジンシェン),リャン・ジンドン(リャンズー),ドン・ズージェン(ダオラー),シルヴィア・チャン(ミア).
1999年,山西省・汾陽で暮らすタオは小学校の教師,地元の祭で歌を歌い踊りを踊る.その幼馴染み,炭鉱労働者のリャンズーと企業家のジンシェンは,共にタオに心を寄せる.
ジンシェンはタオに強く求愛すると共に,リャンズーの勤める鉱山を買収,リャンズーをクビにしてしまう.タオはジンシェンと結婚,リャンズーは汾陽から姿を消した.
2014年,リャンズーは長年の鉱山労働がたたって体を壊し,妻子と共に汾陽に戻って来る.治療には大金がかかり,リャンズーはタオの援助を受ける.
タオはジンシェンと別れ,息子ダオラーは父と共に上海で暮らしていた.その後タオの父が急死,タオは葬儀のために呼び寄せたダオラーと僅かな時を共に過ごす.
更に2025年,2014年にオーストラリアに移住したジンシェンとダオラーは,ジンシェンは英語が話せずに孤立して暮らし,ダオラーは既に中国語を忘れて大学に通っていた.ダオラーのうちには,自己のアイデンティティに関する悩みや,父との葛藤が渦巻いていた….
近い過去から始まり近未来へ至る大河物語.日本的大河物語とは肌合いは違うが,我々はどこから来たのか・何処へ行くのか,という視点には,中国人としてはこう考えているのかと共感できるものがある.
時代と共にフィルイムサイズがスタンダードから次第に拡がっていく仕掛けや,冒頭とラストシーンが同じヒット曲Go Westで彩られていることも興味深かった.
俳優ではやはりチャオ・タオが青春時代から壮年までを,全く違和感なく演じて秀逸.未来編のダオラーを演じたドン・ズージェンも良い感じ.
2025年の世界が,携帯が進化していた以外は,1999年と何も変わらぬ荒涼とした風景だったことも印象深い.悪くない映画.
★★★☆(★5個が満点)
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