独断的映画感想文:ブレードランナー 2049
日記:2017年11月某日
映画「ブレードランナー 2049」を見る.
2017年.監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ.音楽:ヨハン・ヨハンソン,ベンジャミン・ウォールフィッシュ,ハンス・ジマー.
出演:ライアン・ゴズリング(K),ハリソン・フォード(リック・デッカード),アナ・デ・アルマス(ジョイ),マッケンジー・デイヴィス(マリエット),シルヴィア・フークス(ラヴ),レニー・ジェームズ(ミスター・コットン),カルラ・ユーリ(アナ・ステリン),ロビン・ライト(ジョシ),ショーン・ヤング(レイチェル),デイヴ・バウティスタ(サッパー),ジャレッド・レトー(ニアンダー・ウォレス).
荒廃した近未来の地球,労働力として人造人間レプリカントが製造された.しかし旧タイプのレプリカントは叛乱を起こし,製造元のタイレル社は倒産,旧型はブレードランナーと呼ばれる追跡者により処分される.
その後天才科学者ウォレスは合成食料の技術を確立,その労働力として新型レプリカントの製造を開始する.
ロサンゼルス警察の捜査官Kは新型レプリカント,旧型レプリカントのサッパーを処分した時,その農場の木の根元に不審な箱を発見する.箱からは出産時に死亡したと考えられる女性レプリカントの骨が出て来た.
レプリカントには生殖能力はないため,Kの上司ジョシはその事実の公表を禁じ,Kに証拠の破壊と生まれた子供の処分を命じる.
一方その事実を知ったウォレスは,新型レプリカントの生殖能力を完成するため,秘書の新型レプリカント・ラヴにKの追尾と子供の確保を命じる.Kは捜査の進展の中で,その子供は自分ではないかと考え始めるが….
レプリカントへの差別と荒涼とした地球を背景に,緊張感高く描かれるレプリカント出生の謎.商業主義の暴走の果てに,荒廃し貧困のはびこった近未来の都市の描写が圧倒的だ.
この映画にはレプリカントを始め人間ではないものが登場する.なかでも捜査官Kの恋人ジョイのエピソードが印象的だ.
ジョイはクラウド上のAI,Kの自宅の投影機でホログラムとして再生される.Kはサッパー事件の報償として得たボーナスで携帯端末を購入,ジョイは常にKと行動を共にできる様になる.Kが独自行動を取ることになった時ジョイはKと共に居ることを選び,自身の存在からKの居場所を知られるのを避けるため,クラウド上の自身のデータを抹消して全てを携帯端末にダウンロードする.携帯端末が破壊されればジョイは消失してしまうが,それで良いとジョイは言う.「人間の女性と同じになるだけだから」.このシーンも哀切だ.
かってのブレードランナー・デッカードの再登場も心に残る.彼と旧型レプリカントとの関係が,以後の世界の状況を左右することになるのだ.
終盤に向けての物語の展開はなかなかにスリリング.最終シーンの哀しさ,清冽さは心に残る.
監督は「メッセージ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ,彼と「メッセージ」でコンビを組んだヨハン・ヨハンソンをはじめとする音楽・音響の効果も素晴らしい.163分の長尺を一気に見た.見て損はなし.
★★★★☆(★5個が満点)
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