独断的映画感想文:ダゲレオタイプの女
日記:2017年11月某日
映画「ダゲレオタイプの女」を見る.
2016年.監督:黒沢清.
出演:タハール・ラヒム(ジャン),コンスタンス・ルソー(マリー),オリヴィエ・グルメ(ステファン),マチュー・アマルリック(ヴァンサン),マリック・ジディ(トマ),ヴァレリ・シビラ(ドゥーニーズ),ジャック・コラール(ルイ).
ホラー映画.黒沢監督以外のキャスト/スタッフは基本的にフランス人.
パリ郊外の邸宅でダゲレオタイプの写真工房を営むステファンは,気難しい芸術家.ジャンは助手として雇われ,娘マリーをモデルとする撮影を手伝う.
等身大の銀版を直接露光して行う長時間撮影,マリーは60分を超える撮影のモデルを務めるが,一方で自身は別の人生を目指し植物園への就職活動を行っている.
ステファンの今は亡き妻も撮影モデルを務めていたが,ステファンとは確執があった様だ.邸宅は再開発地区にあったため,ジャンはステファンに移転を認めさせ,マリーとの新しい生活を得ようと夢見るのだが….
黒澤映画らしい味と雰囲気に満ちた映画.映画での亡霊の考え方は日本的で,例えば亡霊と知らず女性とつき合っていると,男がやせ衰えていくのを自身は自覚しない,というのは西洋ではあまり見ないようだ.
ステファンと妻の関係は今ひとつ分かり難かったが,それ以外は特に思いがけないことは起こらず,ステファンの芸術家としての狂気と邸宅の状況から,起こるべき結末が起こったという気がする.
ラストへの展開には納得.「消えた声が、その名を呼ぶ」で見たばかりのタハール・ラヒムが,透明感あるコンスタンス・ルソーと共に好演.
★★★☆(★5個が満点)
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