独断的映画感想文:イレブン・ミニッツ
日記:2017年11月某日(日)
映画「イレブン・ミニッツ」を見る.
2015年.監督:イエジー・スコリモフスキ.
出演:リチャード・ドーマー(映画監督),パウリナ・ハプコ(アンナ),ヴォイチェフ・メツファルドフスキ(アンナの夫),アンジェイ・ヒラ(ホットドッグ屋の主人),ダヴィッド・オグロドニック(バイク便の男),アガタ・ブゼク(登山家(女)),ピョートル・グロヴァツキ(登山家(男)),ヤン・ノヴィツキ(画家),アンナ・マリア・ブチェク(医者),ウカシュ・シコラ(少年),イフィ・ウデ(犬を連れた女),マテウシュ・コシチュキェヴィチ(元ボーイフレンド),グラジナ・ブウェツカ=コルスカ(産気づいた女),ヤヌシュ・ハビョル(死んだ男).
2014年11月7日17時からの11分間に発生した出来事を描く群像劇.
群像劇と言えば,複数の人々の行動を描いていき,それがある時点で一点に収斂してハッピーエンドになったり破滅になったりという結末を描くもの.本作もそのように進行する.
映画監督とホテルで17時に面談する女優は,出かける前夫といちゃついている.夫は誰かと喧嘩したらしく左目にアザがある.
ムショから出てホテルの前でホットドッグ屋を始めている男,その息子はバイク便で働くがヤクの売人も兼ね,売った先の人妻と不倫もしている.
登山家の男は,アルバイトのホテルの外壁補修中の休憩時間を,窓から入れるホテルの一室で過ごすが,そこに登山家の女が来て共にポルノを見る.
水彩画家の老人と質屋の強盗未遂犯の少年が,同じバスに乗り合わせてホテル前のバス停に来る.
救急隊は酔って暴れる男を排除して逆子を分娩しかけている女性を救助し,病院に向けホテル前を急行中だ.ここからラストシーンへ映画は一気に収斂していく….
監督の視点には人間ドラマを俯瞰している神の視点がある様で,TV画面に突然浮かび箴言めいたことを言う男性や,空の片隅に現れている黒い点などが,それを暗示している.ひょっとしたら,この事件全体が神の気まぐれなのかも知れない,とも思わせる映画だ.映像と音響が凝っていて緊迫感を盛り上げていく.
★★★☆(★5個が満点)
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