番外:独断的歌舞伎感想文 12月大歌舞伎1部・2部 実盛物語/土蜘/らくだ/蘭平物狂
日記:2017年12月某日
歌舞伎座で12月大歌舞伎1部・2部を見る.
第一部:源平布引滝・「一、実盛物語(さねもりものがたり)」.斎藤別当実盛(愛之助),女房小よし(吉弥),葵御前(笑三郎),郎党(宗之助),同(竹松),同(廣太郎),同(廣松),百姓九郎助(松之助),瀬尾十郎(片岡亀蔵),小万(門之助).河竹黙阿弥 作・「二、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)」.出演:叡山の僧智籌実は土蜘の精(松緑),源頼光(彦三郎),侍女胡蝶(梅枝),坂田公時(萬太郎),巫子榊(新悟),太刀持音若(左近),石神実は小姓四郎吾(亀三郎),碓井貞光(橘太郎),渡辺綱(松江),番卒藤内(坂東亀蔵),番卒次郎(片岡亀蔵),番卒太郎(権十郎),平井保昌(團蔵).
第二部:初代桂文枝 口述,堀川哲 脚本,奈河彰輔 改訂・演出,今井豊茂 演出・「一、らくだ」.出演:紙屑屋久六(中車),やたけたの熊五郎(愛之助),家主幸兵衛(橘太郎),家主女房おさい(松之助),らくだの宇之助(片岡亀蔵).浅田一鳥 作,水沼一郎 補綴,竹柴諒二 補綴.倭仮名在原系図・「二、蘭平物狂(らんぺいものぐるい)」.出演:奴蘭平実は伴義雄 松緑),壬生与茂作実は大江音人(坂東亀蔵),水無瀬御前(児太郎),一子繁蔵(左近),女房おりく実は音人妻明石(新悟),在原行平(愛之助).
実盛物語は愛之助の実盛にあまり感心しない.型通りの実盛で,個性に欠ける嫌いあり.未だ発展途上か.亀蔵は自ら首を落とす場面でのトンボが見事,身体能力は相変わらず.
土蜘蛛は後半松緑の踊りが堪能できたが,前半が思ったより長くて不覚の爆睡.
らくだは上方弁の芝居がテンポ良く,とにかく中車がうまくて笑わせる.大家の家の前での死体とのもつれは,陰になって見えなかったのが残念なほど場内爆笑.亀蔵の死体も傑作,愛之助はかなり食われたか.
蘭平物狂は前半が思ったより複雑な展開で不覚の入眠,しかし後半の大立ち回りは,幕の不調があって出だしがつまずいたにも関わらず,誠に入魂の大奮闘,最後に息子の名を呼び探し求める姿には胸が熱くなる.これが今回限りとは残念だ.
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