« 2017年12月 | トップページ

2018年1月に作成された記事

2018/01/03

番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場12月歌舞伎公演 今様三番三/通し狂言 隅田春妓女容性(すだのはるげいしゃかたぎ)

日記:2017年12月某日
国立劇場で12月歌舞伎公演を見る.H2912kabukihon2omote
「今様三番三(いまようさんばそう)」.大薩摩連中,長唄囃子連中.「通し狂言 隅田春妓女容性(すだのはるげいしゃかたぎ) 三幕九場 ―御存梅の由兵衛― (ごぞんじうめのよしべえ)」.並木五瓶=作 国立劇場文芸研究会=補綴.国立劇場美術係=美術.序幕 柳島妙見堂の場,同  橋本座敷の場,同 入口塀外の場.二幕目 蔵前米屋店先の場,同 塀外の場,同 奥座敷の場,本所大川端の場.大詰 梅堀由兵衛内の場,同 仕返しの場.出演:中村吉右衛門,中村歌六,中村又五郎,尾上菊之助,中村歌昇,中村種之助,中村米吉,中村吉之丞,嵐橘三郎,大谷桂三,中村錦之助,中村雀右衛門,中村東蔵.
今様三番三は雀右衛門の踊りが美しい.引き抜きやぶっ返しも見事に決まり,見応えあり.
隅田春妓女容性は並木五瓶作の狂言で,侠客・梅の由兵衛がかっての主家から盗まれた重宝を探索すると共に,主家縁の男女,金五郎・小三を助けるため奔走する姿を描く.
筋は錯綜して分かり難いし,梅の由兵衛の実体がいまいち分かり難い(侠客なのに子分はいないし家業も不明)のだが,由兵衛の直面する悲劇の場が胸に迫る.
この場面の吉右衛門,菊之助,米吉がそれぞれ熱演で,感銘的.役者の力と歌舞伎の積み上げた様々な物語の上に,この狂言があるということが良く判る作品.
菊之助が早変わりで奮闘,これも見どころ.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

番外:独断的歌舞伎感想文 12月大歌舞伎3部 瞼の母/楊貴妃

日記:2017年12月某日
歌舞伎座で12月大歌舞伎3部を見る.Img_05862
「一、瞼の母(まぶたのはは)」.長谷川伸 作,石川耕士 演出.出演:番場の忠太郎(中車),金町の半次郎(彦三郎),板前善三郎(坂東亀蔵),娘お登世(梅枝),半次郎妹おぬい(児太郎),夜鷹おとら(歌女之丞),鳥羽田要助(市蔵),素盲の金五郎(権十郎),半次郎母おむら(萬次郎),水熊のおはま(玉三郎).「二、楊貴妃(ようきひ)」.夢枕獏 作.出演:楊貴妃(玉三郎),方士(中車).
瞼の母は,冒頭の朋輩半次郎宅の場面からきっちりとした緊張感ある舞台が続き,大詰めの水熊屋帳場の場面では中車・玉三郎の台詞の応酬に予断を許さない展開となる.
幕切れで,一人佇む忠太郎の姿に,舞台を圧倒する存在感を感じた.と同時に忠太郎の肩から力が抜けた様な印象もあり,瞼の母との巡り会いと別れが,遅まきながらこの青年の自立をもたらしたのかも知れないと感じた次第.
老夜鷹を演じる歌女之丞が絶品,ぼろ傘を手にしゃがみ込む様子が良い.
楊貴妃は,嫋々とした琴・尺八・胡弓の音楽と長唄に乗り,踊る玉三郎が息を呑む美しさ.こちらも28分の舞台に一分の隙も無い.誠に見応えあり.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

番外:独断的歌舞伎感想文 12月大歌舞伎1部・2部 実盛物語/土蜘/らくだ/蘭平物狂

日記:2017年12月某日
歌舞伎座で12月大歌舞伎1部・2部を見る.Kabukiza_201712fffl_0382af5e8a5e7da
第一部:源平布引滝・「一、実盛物語(さねもりものがたり)」.斎藤別当実盛(愛之助),女房小よし(吉弥),葵御前(笑三郎),郎党(宗之助),同(竹松),同(廣太郎),同(廣松),百姓九郎助(松之助),瀬尾十郎(片岡亀蔵),小万(門之助).河竹黙阿弥 作・「二、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)」.出演:叡山の僧智籌実は土蜘の精(松緑),源頼光(彦三郎),侍女胡蝶(梅枝),坂田公時(萬太郎),巫子榊(新悟),太刀持音若(左近),石神実は小姓四郎吾(亀三郎),碓井貞光(橘太郎),渡辺綱(松江),番卒藤内(坂東亀蔵),番卒次郎(片岡亀蔵),番卒太郎(権十郎),平井保昌(團蔵).
第二部:初代桂文枝 口述,堀川哲 脚本,奈河彰輔 改訂・演出,今井豊茂 演出・「一、らくだ」.出演:紙屑屋久六(中車),やたけたの熊五郎(愛之助),家主幸兵衛(橘太郎),家主女房おさい(松之助),らくだの宇之助(片岡亀蔵).浅田一鳥 作,水沼一郎 補綴,竹柴諒二 補綴.倭仮名在原系図・「二、蘭平物狂(らんぺいものぐるい)」.出演:奴蘭平実は伴義雄 松緑),壬生与茂作実は大江音人(坂東亀蔵),水無瀬御前(児太郎),一子繁蔵(左近),女房おりく実は音人妻明石(新悟),在原行平(愛之助).
実盛物語は愛之助の実盛にあまり感心しない.型通りの実盛で,個性に欠ける嫌いあり.未だ発展途上か.亀蔵は自ら首を落とす場面でのトンボが見事,身体能力は相変わらず.
土蜘蛛は後半松緑の踊りが堪能できたが,前半が思ったより長くて不覚の爆睡.
らくだは上方弁の芝居がテンポ良く,とにかく中車がうまくて笑わせる.大家の家の前での死体とのもつれは,陰になって見えなかったのが残念なほど場内爆笑.亀蔵の死体も傑作,愛之助はかなり食われたか.
蘭平物狂は前半が思ったより複雑な展開で不覚の入眠,しかし後半の大立ち回りは,幕の不調があって出だしがつまずいたにも関わらず,誠に入魂の大奮闘,最後に息子の名を呼び探し求める姿には胸が熱くなる.これが今回限りとは残念だ.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2018/01/02

独断的映画感想文:永遠のジャンゴ

日記:2017年12月某日
映画「永遠のジャンゴ」を見る.1_3
2017年.監督:エチエンヌ・コマール.
出演:レダ・カテブ(ジャンゴ・ラインハルト),セシル・ドゥ・フランス(ルイーズ・ドゥ・クラーク),ベアタ・パーリャ(ナギーヌ・ラインハルト),ビンバム・メルシュタイン(ネゴロス・ラインハルト),ガブリエル・ミレテ(ラ・プリュム),ジョニー・モントレイユ(ジョセフ・ラインハルト),ヴァンサン・フラド(タムタム),グザヴィエ・ボーヴォワ(STOドクター),パトリック・ミル(シャルル・ドロネー).3_3
ジャズ・ギターのソロ演奏を確立したロマ出身の名ギタリスト:ジャンゴ・ラインハルトの1943年から1945年の日々を描く.
1943年,既に国際的名声を確立していたジャンゴは,パリに留まり演奏活動を続けていた.一方,ナチス・ドイツはロマを人種的に劣るものとして殺害・強制収容の対象とした.2_3
ジャンゴの知り合いのロマも次々と殺され収容されていく中,ジャンゴの楽団はナチスドイツのジャズ好きな担当官「ジャズ博士」のお陰で演奏活動を続けギャラを稼いでいた.ジャンゴの楽団にドイツでのツアーを行うという話が持ち上がるが,ジャンゴに好意を持つルイーズは,行ったら帰って来れないと主張しスイスへの亡命を勧める.
ジャンゴはスイスへの亡命を決意し,楽団を解散,レマン湖のフランス側にあるロマのキャンプに滞在してチャンスを待つ….
ジャンゴ・ラインハルトの名前は知っていたがその音楽は聴いたことがなかった.彼がこの様に素晴らしいミュージッシャンで,本作にある様にレクイエムや交響曲も作曲する音楽家であったこと,かつロマの出身としてこの様な辛酸を舐めたということは,初めて知った.4_2
ドイツ占領下のフランスでのエンターテインメントの状況も興味深い.ジャンゴ達ロマ族の絆の強さ,それに対するナチスの非道さも印象的.
ジャンゴ達がレマン湖畔でナチスの会合のために演奏を強制されるシーン,担当将校から「規則」が言い渡される.マイナー曲・ブルースは禁止,シンコペーションはなし,アドリブソロは5秒まで等々.これをかいくぐって観客をスイングさせていく本シーンは,誠にサスペンスフル.
5_2
戦争が終わって生き残った人々が集う「レクイエム」のシーンも素晴らしかった.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:コーマ

日記:2017年12月某日
映画「コーマ」を見る.1_2
1978年.監督:マイケル・クライトン.
出演:ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド(スーザン),マイケル・ダグラス(マーク),リチャード・ウィドマーク(ハリス博士).

2_2
スーザンは外科研修医,理想家肌で,恋人で現実主義的なマークとは喧嘩したり仲直りしたり.
ところが学生時代からの親友が虫垂炎の手術で,思いがけなく植物状態に陥る.親友は結局死亡し,病理解剖の結果も原因が見当たらない.3_2
しかしスーザンは調査の結果,過去10例以上の手術中の原因不明の植物状態への転帰があり,しかも全てが第8手術室で発生していることを知る….
謎のネタは割に早い段階で明らかになり,映画の焦点はスーザンに迫る危険のサスペンスとなる.
この映画の最大の見どころは,植物状態に陥った患者が収容される,ジェファーソン研究所のシーンであろう.視覚的に強烈な印象を与えるこのシーンは,他の映画にもコピーされている様だ.このシーンが宣伝ポスターでネタばらしされているのは,ちょっとどうなのかしらと思ってしまう.5
★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:プロヴァンスの休日

日記:2017年12月某日
映画「プロヴァンスの休日」を見る.1
2015年.監督:ローズ・ボッシュ.
出演:ジャン・レノ(ポール),アンナ・ガリエナ(イレーネ),クロエ・ジュアネ(レア),ユゴー・デシュー(アドリアン),ルーカス・ペリシエ(テオ).
2
冒頭,「サウンド・オブ・サイレンス」をバックに列車の窓辺で風景を楽しむ少年テオの映像.
テオとアドリアン,レアの兄妹は,離婚した母親の仕事の都合で祖母イレーネに連れられて,パリからプロヴァンスの祖父ポールの家で夏休みを過ごすために行く途中(しかし映画でこういう事情が判るのは大分後のことだ).
テオは聾唖者.彼等がイレーネと共に行くことはポールは知らされておらず,出会いは極めて気まずいものになる.3
彼等の母は17年前に妊娠して両親の元を出奔,それ以来ポールとは連絡も取ったことがない.プロヴァンスでオリーブを栽培する頑固一徹のポールは,もとより孫達と友好的につきあえる筈もなく,イレーネは間に立ってやきもきする.
しかしテオはポールの心をつかみ,仲良くオリーブの世話をし始めるのだが….
パリとプロヴァンスの違い,世代間の違いが際立つポールと孫達の一夏のバカンスが描かれる.反発し合いながらも血縁の力で絆を繋げ,互いに持つ欠点を助け合って補い合う家族の結びつきが,プロヴァンスの風景をバックに淡々と見事に描かれる.4
特に両者を取り持つ天使の様なテオが素晴らしい.
アドリアンがポールに無断でフェイスブックにアップしたポールのアカウントが,思いがけずポールの昔馴染みを呼び寄せて開かれる心地よいパーティーの情景も素敵.使用される70年代ロックの数々も懐かしく,見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ


| コメント (0) | トラックバック (0)

« 2017年12月 | トップページ