独断的映画感想文:プロヴァンスの休日
日記:2017年12月某日
映画「プロヴァンスの休日」を見る.
2015年.監督:ローズ・ボッシュ.
出演:ジャン・レノ(ポール),アンナ・ガリエナ(イレーネ),クロエ・ジュアネ(レア),ユゴー・デシュー(アドリアン),ルーカス・ペリシエ(テオ).
冒頭,「サウンド・オブ・サイレンス」をバックに列車の窓辺で風景を楽しむ少年テオの映像.
テオとアドリアン,レアの兄妹は,離婚した母親の仕事の都合で祖母イレーネに連れられて,パリからプロヴァンスの祖父ポールの家で夏休みを過ごすために行く途中(しかし映画でこういう事情が判るのは大分後のことだ).
テオは聾唖者.彼等がイレーネと共に行くことはポールは知らされておらず,出会いは極めて気まずいものになる.
彼等の母は17年前に妊娠して両親の元を出奔,それ以来ポールとは連絡も取ったことがない.プロヴァンスでオリーブを栽培する頑固一徹のポールは,もとより孫達と友好的につきあえる筈もなく,イレーネは間に立ってやきもきする.
しかしテオはポールの心をつかみ,仲良くオリーブの世話をし始めるのだが….
パリとプロヴァンスの違い,世代間の違いが際立つポールと孫達の一夏のバカンスが描かれる.反発し合いながらも血縁の力で絆を繋げ,互いに持つ欠点を助け合って補い合う家族の結びつきが,プロヴァンスの風景をバックに淡々と見事に描かれる.
特に両者を取り持つ天使の様なテオが素晴らしい.
アドリアンがポールに無断でフェイスブックにアップしたポールのアカウントが,思いがけずポールの昔馴染みを呼び寄せて開かれる心地よいパーティーの情景も素敵.使用される70年代ロックの数々も懐かしく,見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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