独断的映画感想文:永遠のジャンゴ
日記:2017年12月某日
映画「永遠のジャンゴ」を見る.
2017年.監督:エチエンヌ・コマール.
出演:レダ・カテブ(ジャンゴ・ラインハルト),セシル・ドゥ・フランス(ルイーズ・ドゥ・クラーク),ベアタ・パーリャ(ナギーヌ・ラインハルト),ビンバム・メルシュタイン(ネゴロス・ラインハルト),ガブリエル・ミレテ(ラ・プリュム),ジョニー・モントレイユ(ジョセフ・ラインハルト),ヴァンサン・フラド(タムタム),グザヴィエ・ボーヴォワ(STOドクター),パトリック・ミル(シャルル・ドロネー).
ジャズ・ギターのソロ演奏を確立したロマ出身の名ギタリスト:ジャンゴ・ラインハルトの1943年から1945年の日々を描く.
1943年,既に国際的名声を確立していたジャンゴは,パリに留まり演奏活動を続けていた.一方,ナチス・ドイツはロマを人種的に劣るものとして殺害・強制収容の対象とした.
ジャンゴの知り合いのロマも次々と殺され収容されていく中,ジャンゴの楽団はナチスドイツのジャズ好きな担当官「ジャズ博士」のお陰で演奏活動を続けギャラを稼いでいた.ジャンゴの楽団にドイツでのツアーを行うという話が持ち上がるが,ジャンゴに好意を持つルイーズは,行ったら帰って来れないと主張しスイスへの亡命を勧める.
ジャンゴはスイスへの亡命を決意し,楽団を解散,レマン湖のフランス側にあるロマのキャンプに滞在してチャンスを待つ….
ジャンゴ・ラインハルトの名前は知っていたがその音楽は聴いたことがなかった.彼がこの様に素晴らしいミュージッシャンで,本作にある様にレクイエムや交響曲も作曲する音楽家であったこと,かつロマの出身としてこの様な辛酸を舐めたということは,初めて知った.
ドイツ占領下のフランスでのエンターテインメントの状況も興味深い.ジャンゴ達ロマ族の絆の強さ,それに対するナチスの非道さも印象的.
ジャンゴ達がレマン湖畔でナチスの会合のために演奏を強制されるシーン,担当将校から「規則」が言い渡される.マイナー曲・ブルースは禁止,シンコペーションはなし,アドリブソロは5秒まで等々.これをかいくぐって観客をスイングさせていく本シーンは,誠にサスペンスフル.
戦争が終わって生き残った人々が集う「レクイエム」のシーンも素晴らしかった.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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