番外:独断的歌舞伎感想文 二月大歌舞伎 夜の部:熊谷陣屋/壽三代歌舞伎賑/祇園一力茶屋
日記:2018年2月某日
歌舞伎座で「二月大歌舞伎 夜の部」を見る.
「一、一谷嫩軍記 熊谷陣屋(くまがいじんや)」.出演:熊谷次郎直実(染五郎改め幸四郎),熊谷妻相模(魁春),藤の方(雀右衛門),梶原平次景高(芝翫),亀井六郎(歌昇),片岡八郎(萬太郎),伊勢三郎(巳之助),駿河次郎(隼人),堤軍次(鴈治郎),白毫弥陀六(左團次),源義経(菊五郎).「二、壽三代歌舞伎賑(ことほぐさんだいかぶきのにぎわい) 木挽町芝居前 二代目松本白鸚 十代目松本幸四郎 八代目市川染五郎」.幸四郎改め白鸚,染五郎改め幸四郎,金太郎改め染五郎.出演:菊五郎,仁左衛門,玉三郎,左團次,又五郎,鴈治郎,錦之助,松緑,海老蔵,彌十郎,芝翫,歌六,魁春,時蔵,雀右衛門,孝太郎,梅枝,高麗蔵,友右衛門,東蔵,秀太郎,廣太郎,錦吾,猿之助,楽善,我當,梅玉,吉右衛門,藤十郎.「三、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら) 祇園一力茶屋の場」.出演:大星由良之助(幸四郎改め白鸚),大星力弥(金太郎改め染五郎),赤垣源蔵(友右衛門),富森助右衛門(彌十郎),矢間重太郎(松江),斧九太夫(錦吾),遊女お軽(玉三郎),寺岡平右衛門(仁左衛門).
熊谷陣屋は幸四郎で2度見ていずれもいまいちだった.今回の新幸四郎は何を言っているかは明瞭で親父よりは見易いし,型がきっちり出来ているのは立派.
しかし吉右衛門の直実がビデオのワンシーンだけで落涙させる力があるのには比べようもない.これから伝統を作る若さに期待したい.左團次の弥陀六が元気で好感.
木挽町芝居前は寸劇仕立ての襲名口上,きら星の様な出演者の中で腰掛けたままながら元気そうな我當と台詞もないがにこやかに一座していた猿之助が印象的.
一力茶屋は何と言っても玉三郎・仁左衛門のお軽・平右衛門の場面に圧倒的な感銘を受ける.
お軽の由良之助を相手にする時の如何にも遊女といった風情から,兄・平右衛門に勘平の消息を聞く時の少女めいた明るさ,父も勘平も死んだと知った時の悲哀,覚悟を決めて兄の手にかかろうという時の決意,これを演じる玉三郎の美しさはどうだろう.
仁左衛門の平右衛門もぴったり息があって且つ若々しく,まことに年齢を感じさせない名演である.これほど見応えのある歌舞伎も久しぶり.楽しかった.
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