独断的映画感想文:ある戦争
日記:2018年4月某日
映画「ある戦争」を見る.
2015年.監督:トビアス・リンホルム.
出演:ピルー・アスベック(クラウス),ツヴァ・ノヴォトニー(マリア),ソーレン・マリン(弁護士マーティン),ダール・サリム(ナジブ),シャーロッテ・ムンク(カイサ).
アフガニスタンで平和維持軍に参加しているデンマーク部隊,地域を巡回し市民をタリバンの襲撃から守るのが任務だ.部隊長のクラウスは,戦闘での兵士の死に直面し,部隊を鼓舞しその先頭に立って任務の全うに腐心する.
デンマークでは彼の妻マリアが,3人の子供を育てるのに懸命な日々を過ごしている.
ある日部隊がタリバンに襲撃され瀕死の重傷者が出る中,クラウスは自ら敵の位置を確認できぬまま砲撃支援を要請する.重傷者は助かったが,砲撃に巻き込まれ民間人11名が死亡,クラウスは軍法会議にかけられることになった….
戦争は不条理だ.
クラウスは任務を果たし部下を守るために献身的に働いている.留守を守るマリアも3人の子供を守るため必死で働く.
不意打ちを喰らい部下は重傷,しかし何とか守りきって部下の命は助かった.ところが自分の指示で行われた砲撃で,民間人11人の死者が出たという.裁判で法務官は,クラウスが前線に出ていたこと自体が彼の判断能力の低下を示すものだと非難し,クラウスの心は押しつぶされる.
11人の命は重い.しかしその責任は一人クラウスにあるのだろうか.タリバンは民間人のいる場所から攻撃をかけてきたとも考えられる.
デンマークという国からアフガニスタンにPKO部隊が出ていたことも知らなかったが,その結果がこういう厳しい現実となっていることも衝撃だった.映画はこの物語に相応しく,黄土色のアフガンと灰色のデンマークを交互に映像化し,緊張感も高い.見応えある映画.
★★★★(★5個が満点)
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