独断的映画感想文:ブルーに生まれついて
日記:2018年4月某日
映画「ブルーに生まれついて」を見る.
2015年.監督:ロバート・バドロー.
出演:イーサン・ホーク(チェット・ベイカー),カーメン・イジョゴ(ジェーン/エレイン),カラム・キース・レニー(ディック・ボック),ケダー・ブラウン(マイルス・デイヴィス),ケヴィン・ハンチャード(ディジー・ガレスピー).
映画は刑務所の独房で禁断症状に震えるチェット・ベイカーのシーンからスタート.
チェットはヘロイン常用の罪でイタリアで収監されていたのだ.この後チェットはプロデューサー:ディック・ボックの尽力で,自らの売り出し時代の映画を自演するべく,帰国がかなう.
ところがその撮影中,チェットは代金未払いに激昂したヤクの売人に襲われ,顎の骨折,前歯全壊の重傷を負う.トランペッターとして致命的な結果に映画はご破算,ディックも手を引くと宣する.チェットは映画で前妻エレイン役を演じた女優ジェーンの愛にすがって生きていくが….
白人トランペッター・シンガーとして1950年代に一世を風靡したチェット・ベイカーの物語.この後チェットは,ジェーンの献身的な愛と自身の超人的な努力によって,トランペッターとして再起する.
映画の最後30分のドラマがなんとも素晴らしい.
チェットは業界関係者の見守るスタジオ録音(この時のマイ・ファニー・ヴァレンタインの演奏がまた素晴らしい)で高評価を得,念願のバードランドに出演,マイルス・デイビス,ディジー・ガレスピー等の前で演奏することになる.
その直前の楽屋で,ヤクを目の前にして物思いにふけるチェット.人生の取り返しをかけた演奏を前に葛藤するこの長いシーンに,胸が痛む.
それに続く「Born To Be Blue」の演奏シーンの素晴らしさ.イーサン・ホークの熱演と歌・演奏は実に見応えあり.ジャズも素敵だけど,それを映画にするとこんなにスリリングで哀しいものになるなんて.おすすめの映画.
★★★★☆(★5個が満点)
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