独断的映画感想文:ダンケルク
日記:2018年6月某日
映画「ダンケルク」見る.
2017年.監督:クリストファー・ノーラン.音楽:ハンス・ジマー.
出演:フィオン・ホワイトヘッド(トミー),トム・グリン=カーニー(ピーター),ジャック・ロウデン(コリンズ),ハリー・スタイルズ(アレックス),アナイリン・バーナード(ギブソン),ジェームズ・ダーシー(ウィナント大佐),バリー・キオガン(ジョージ),ケネス・ブラナー(ボルトン中佐),キリアン・マーフィ(謎の英国兵),マーク・ライランス(ミスター・ドーソン),トム・ハーディ(ファリアー).
映画の冒頭,ドイツ軍の降伏勧告ビラが舞う市街を駆け抜ける英軍兵士トミー.僚友はことごとく撃たれ,銃も鉄兜も失って命からがら友軍の拠点に転げ込む.その先はダンケルクの海岸,救出を待つ兵士の長い長い列が砂浜を覆い尽くす.
イギリスでは海軍の徴集に応じ,ドーソンの艇を含む多数の民間小型船舶が,ダンケルクに向け救出のため出港する.
英空軍のスピットファイア3機編隊は作戦のため大陸に向け飛行中,独空軍メッサーシュミットと交戦,更に撤収作戦中の英艦船を襲う独爆撃機を撃墜する.
この3つのエピソードがトミーの件が1週間,ドーソン艇の件は1日間,空軍の件は1時間の時間軸で同時進行するが,クライマックスで全てのエピソードは収斂する….
史実に基づいたダンケルク撤退作戦を描いた映画だが,上記のように3つの異なる時間軸を編集した描写である.更に登場するのは撤収する側の英軍兵士と艦船・航空機であり,独軍兵士は一切描かれない(描写されるのは独軍航空機と魚雷の航跡,飛来する銃弾のみ).この映画は,英軍のダンケルク撤収作戦の成功を描いた,一種の戦争叙事詩というべきであろう.
映画としての緊張感は高い.トミー達がようやく英駆逐艦に収容され,看護婦に迎えられ紅茶とジャムパンを振る舞われた次の瞬間,Uボートの魚雷に撃沈される船内のシーン.敗残兵として辛くも生還し,英市民の罵倒を覚悟していたトミー等が,市民の暖かい歓待を受けるシーン.いずれも印象的だ.
同じ監督の「インターステラー」で素晴らしかったハンス・ジマーの音楽がやはり素敵.
戦史ものとして期待すると肩すかしだが,見応えある映画.
★★★☆(★5個が満点)
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