独断的映画感想文:ファントム・スレッド
日記:2018年6月某日
映画「ファントム・スレッド」を見る.
2017年.監督:ポール・トーマス・アンダーソン.
出演:ダニエル・デイ=ルイス(レイノルズ・ウッドコック),レスリー・マンヴィル(シリル・ウッドコック),ヴィッキー・クリープス(アルマ・エルソン),カミーラ・ラザフォード(ジョアンナ),ジーナ・マッキー(ヘンリエッタ),ブライアン・グリーソン(ロバート・ハーディ),ハリエット・サンソム・ハリス(バーバラ).
ウッドコックはロンドンの高級仕立て服ハウスのオーナー,姉シリルをマネージャー役として,完全主義の仕事が社交界からも高く評価されている.
仕事のストレスに疲れ一人車で別荘に向かったウッドコックは,途上のレストランで若く美しいウエイトレスのアルマと出会う.一目でアルマが気に入ったウッドコックは彼女を自邸に迎え入れ,その美貌とウッドコックの服飾モデルへの要求にぴったりの肢体は,ウッドコックの創作欲を刺激する.
やがて二人は愛し合うと同時に,ウッドコックの服飾への思いも共有するようになるが,一方でウッドコックなりのやり方で運営されてきた暮らしは,アルマによってかき乱される.他方,シリルにより完璧に庇護されているウッドコックに対し,自身がウッドコックを庇護するべきだと考えたアルマは,ある日思い切った行動に出る….
1950年代ロンドンの服飾ハウスや,郊外の別荘を舞台に繰り広げられる映像美がまず魅力的.
演じる主演3名の演技も誠に見応えあり.特に別荘の食堂で,アルマが倒錯的な愛のかたちを提示し,ウッドコックがそれを受け入れていく長いシーン,ヴィッキー・クリープスとダニエル・デイ=ルイスの緊張感に満ちた演技が素晴らしい.初々しいアルマが女の凄みを示していく過程もスリリングだ.
同じ監督・主演の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」でも担当した,ジョニー・グリーンウッドの音楽が,今回も印象的.映画的魅力に満ちた作品.
★★★★(★5個が満点)
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