独断的映画感想文:罪の手ざわり
日記:2018年6月某日
映画「罪の手ざわり」を見る.
2013年.監督:ジャ・ジャンクー.
出演:チャオ・タオ(シャオユー(小玉)),チアン・ウー(ダーハイ(大海)),ワン・バオチャン(チョウ(周)),ルオ・ランシャン(シャオホイ(小輝)),チャン・ジャーイー(ヨウリャン(佑良)),リー・モン(リェンロン(蓮蓉)).
映画の冒頭,山道をバイクで走行中3人組の追いはぎに襲われたチョウ,懐から銃を取り出し,あっという間に全員を射殺する.平然と山道を進むチョウ,ダーハイとすれ違う.
ダーハイが働いてきた山西省の村の炭鉱はいつの間にか同級生の金持ちの所有となり,利益は村長一派と資本家のもの.抗議したダーハイは金持ちの側近に袋だたきにされる.ダーハイは猟銃を持ち出す….
チョウは正月に重慶の自宅に帰るが,銃を使った強盗で稼ぎ送金していたことは妻に判ってしまう.地元に留まるよう懇願する妻を置いて,チョウは白昼の強盗を犯し,長距離バスで逃亡する.
そのバスに同乗していたヨウリャンは着いた湖北省の町で愛人シャオユーと会う.報われない愛人生活を続けてきたシャオユーは風俗サウナの受付.サウナに来た客から金づくで性サービスを強要されるが….
ヨウリャンの経営する広東省のクリーニング工場で働いていたシャオホイはナイトクラブに商売替え.そこの「ダンサー」リェンロンに心惹かれるが恋に破れ,更に稼いだ金は残らず母親に引き出され絶望する….
現代中国の拝金主義とその犠牲となる庶民の絶望を描く,4つのエピソードによるオムニバス映画.
淡々とした描写ながら緊張感高く,各エピソードを演じる俳優も素晴らしい.最初のダーハイの物語に登場する京劇と,エピローグに登場する京劇がそれぞれ暗示的な台詞を繰り返すシーン,各エピソードの登場人物が重なっていくこと等,如何にも映画的な演出も面白い.
★★★☆(★5個が満点)
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