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2018年8月に作成された記事

2018/08/23

独断的映画感想文:美女と野獣

日記:2018年8月某日
映画「美女と野獣」を見る.
2017年.監督:ビル・コンドン.
出演:エマ・ワトソン(ベル),ダン・スティーヴンス(野獣),ルーク・エヴァンス(ガストン),ケヴィン・クライン(モーリス),ジョシュ・ギャッド(ル・フウ),ユアン・マクレガー(ルミエール),スタンリー・トゥッチ(カデンツァ),ネイサン・マック(チップ),ググ・ンバータ=ロー(プリュメット),オードラ・マクドナルド(マダム・ド・ガルドローブ),イアン・マッケラン(コグスワース),エマ・トンプソン(ポット夫人).1
傲慢の罪で魔女の呪いをかけられた王子とその召使い・城.呪いを解くには,魔女が残したバラの花びらが全て散る前に,「愛し愛されること」を王子が知らねばならなかった.
一方近隣の村で父モーリスと二人暮らしの娘ベル,本の虫で変わり者と村中から相手にされない.或る日モーリスが森で狼に襲われ,偶然逃げ込んだ王子の城で囚われの身となってしまう.モーリスを救いに城に来たベルは,身替わりに城で暮らすことになるが….3
子供だましの通俗的映画.
きら星の様な配役だが,エマ・ワトソン以外は映画の殆どで家具や調度品として登場するので,あまり意味は無い.
音楽的にもエマ・ワトソンの歌唱に特に魅力は無く,感銘を受ける楽曲も無い.
2
フランスが舞台と言っているが,何故黒人の登場人物がこれだけ出てくるのか,理解に苦しむ.
大人の都合で作られた映画という印象が最後まで残った.見て楽しさは特に感じられない.
★(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 八月納涼歌舞伎1部・2部 花魁草/龍虎/心中月夜星野屋/東海道中膝栗毛/雨乞其角

日記:2018年8月某日
「八月納涼歌舞伎1部・2部」を見る.Img_20180819_143037
第一部:北條秀司 作・演出,大場正昭 演出.「一、(おいらんそう)」.出演:お蝶(扇雀),幸太郎(獅童),座元の妾お八重(高麗蔵),客孝吉(松江),米之助女房お松(梅枝),お糸(新悟),客平助(虎之介),小料理屋女房(梅花),客音松(吉之丞),小料理屋亭主(松之助),達磨問屋主人五兵衛(市蔵),菊岡女将お栄(萬次郎),座元勘左衛門(彌十郎),百姓米之助(幸四郎).大野恵造 作.「二、龍虎(りゅうこ)」.出演:龍(幸四郎),虎(染五郎).小佐田定雄 脚本,今井豊茂 演出.「新作歌舞伎 三、心中月夜星野屋(しんじゅうつきよのほしのや)」.出演:おたか(七之助),星野屋照蔵(中車),藤助(片岡亀蔵),母お熊(獅童).
第二部:十返舎一九 原作より.杉原邦生 構成,戸部和久 脚本,市川猿之助 演出.「お伊勢参りにまた行くの!?一、東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ) 弥次郎兵衛・喜多八/梵太郎・政之助 宙乗り相勤め申し候」.出演:喜多八(猿之助),伊月梵太郎(染五郎),五代政之助(團子),弥次郎兵衛(幸四郎),獅童,七之助,中車,右團次,竹松,市川右近,弘太郎,寿猿,門之助.伊藤鷗二 作.「二、雨乞其角(あまごいきかく)」.出演:其角(扇雀),船頭(歌昇),同(虎之介),芸者(新悟),同(廣松),其角の弟子(橋之助),同(男寅),同(福之助),同(鷹之資),同(千之助),同(玉太郎),同(歌之助),同(鶴松),大尽(彌十郎).Kabukiza_201808f3_e38509b265db77210
花魁草は7年前のやはり8月歌舞伎で見た.浩太郎は今回と同じ獅童,お蝶は福助.
今回も最終場面の舞台構成の見事さに感銘を受けた.扇雀の訳ありお蝶の演技が秀逸.
心中月夜星野屋は落語ネタで気楽に見れる一幕だが,落ちがいまいち.ここはやはり死んだ筈の旦那が出てくる怪談仕立てでは無いだろうか.
膝栗毛は,喜多さんが死んじゃって弥次喜多のやり取りが無いのは残念.一方,冒頭の意味も無く延々と繰り返される獅童・中車・七之助の早替わりシリーズや,閻魔大王の前での踊りの饗宴等,歌舞伎本来のネタを使った奇想天外なやんちゃは,なかなか面白い.
染五郎・團子のコンビや,市川右近の大活躍が楽しい.全体に8月らしく若手の溌剌とした活躍が嬉しかった.
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2018/08/16

独断的映画感想文:タクシー運転手 ~約束は海を越えて~

日記:2018年8月某日
映画「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」を見る.1_2
2017年.監督:チャン・フン.
出演:ソン・ガンホ(キム・マンソプ),トーマス・クレッチマン(ユルゲン・ヒンツペーター(ピーター)),ユ・ヘジン(ファン・テスル),リュ・ジュンヨル(ク・ジェシク).
2_2
1980年5月に起こった韓国の光州抗争事件に際し,その現場を撮影し事件の真相を世界に知らせた記者と,彼を乗せて光州潜入・ソウルへの脱出を実現したタクシー運転手の,実話に基づく映画.
妻を癌で亡くし一人娘と暮らす個人タクシー運転手:キム・マンソプは,貧しいが陽気な男.一方戒厳令撤廃を求める学生・市民と軍との衝突が深刻になっていた光州,軍は光州を包囲封鎖し,通信も遮断して市民が暴徒化したとのニュースを流していた.
3_2
日本に滞在していたドイツ人記者ピーターは,光州の実情を知るべく身分を隠して渡韓.ピーターの「通行禁止期限までに光州に行ったら10万ウォン払う」という話に飛びついたキムは,サウジ出稼ぎで身につけた片言の英語を武器に,ピーターを乗せて光州を目指すが….
物語は光州での惨劇,ピーター等を支援する学生・市民等と軍隊・警察との争闘,ピーター達がフィルムを持って無事光州を脱出できるか,というサスペンスが軸となって進行する.冒頭からのユーモアに満ちた展開と,このハラハラドキドキは,見応えあり.
4_2
他方で,光州市民とキムとの交流・葛藤もよく描かれている.
ピーターを連れて来たものの,厳しい状況に腰の引けているキムに対する光州市のタクシー運転手等の批判や,一旦仲間と認めたあとは二人を自宅に招いて歓待し,脱出時には身体を張ってキム等を支援する彼等の真情は印象的だ.5_3
自分にとっては韓国市民の,まずはぶつかり合い(忖度などということはない),一旦気を許せば情を通わせ合うという特質が,興味深かった.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:四川のうた

日記:2018年8月某日
映画「四川のうた」を見る.1
2008年.監督:ジャ・ジャンクー.
出演:ジョアン・チェン(シャオホァ),リュイ・リーピン(ダーリー),チャオ・タオ(スーナー),チェン・ジェンビン(ソン・ウェイドン).2
2007年,四川省成都にある420工場は,50年にわたるその歴史を閉じようとしていた.工場の閉鎖式,施設設備の解体撤去,新しい高層マンション群の建設と進む状況を背景に,この工場で働いたり,この工場地区で学び育った人々のインタビューで綴るドキュメンタリー.
本作は420工場の労働者・子弟4人のインタビューと,4人の俳優がそれらの人々を演じて行うインタビューとで構成されている.3
工場創業と文革前後を語る何錫崑,420工場設置の毛沢東の政策を語る関書記,90年代のリストラ状況を語る侯麗君,420工場で生まれ進学後TVキャスターになった趙剛は本人が出演.
一方,工場創設時の異動の旅で一人息子が行方不明になった大麗(ダーリー),80年代の不況下で別れる羽目になった医学生の彼女が,「赤い疑惑」の山口百恵と同じ髪型だったと語る栄衛東(ソン・ウェイドン),80年代に工場に勤め婚期を逃した小花(シャオホァ)こと顧敏華,1982年に工場で生まれ今は上海で高級品のバイヤーをしている蘇娜(スーナー)をそれぞれ俳優が演じてインタビューを行う.4
それぞれのインタビューは印象的で,本人出演の如何にも風雪に耐えてきた労働者という顔貌と語り口も素晴らしい.
一方,リュイ・リーピン,チャオ・タオのインタビューはそれぞれ好演で感銘を受けた.特にジャ・ジャンクー監督の全映画に出演しているチャオ・タオが,廃校となった420工場の学校で父と母を語る映画のラストシーンは素晴らしい.
5_2
途中で流れる「ありがとう あなた」(赤い疑惑主題歌)を始め,挿入される中国歌謡や詩文も趣があり,映画に厚みを与えている.
見応えあり.★★★★(★5個が満点)
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2018/08/12

独断的映画感想文:ドライブイン蒲生

日記:2018年8月某日
映画「ドライブイン蒲生」を見る.1_2
2014年.監督:たむらまさき.
出演:染谷将太(蒲生俊也),黒川芽以(蒲生沙紀),永瀬正敏(蒲生三郎),小林ユウキチ(須田満),猫田直(蒲生しのぶ),平澤宏々路(岸本亜希子),鈴木晋介(パン屋のおじさん),足立智充(沙紀の担任教師).
3_2
寂れきったドライブイン蒲生.店主の蒲生三郎はやくざっぽい駄目親父,店を開けずに昼間っから酒を飲む.
そんな父に激しく反発する姉沙紀はヤンキー,どっちつかずの弟俊也は不良になりきれないグータラ高校生.
彼等の父親との過去の葛藤を,現在の沙紀がDVの夫に決着をつけるため俊也と共に出かける姿と絡めて描くドラマ.2_2
映画の前半は家族それぞれの怠惰で無為な日々が淡々と描かれる.物語が動き出すのは父親の病死から.
父の危篤から葬儀に至る経過での沙紀と俊也の描写から,彼等なりの父への愛情が感じられる.それは現在に戻っていよいよDV夫と決着をつける場面での,沙紀と俊也の行動に繋がっていくのだ.5
沙紀と俊也の人間的成長,父親の受け入れと継承が印象的なラストシーンだった.
黒川芽以・染谷昇太の寡黙で動きの少ない演技が面白い.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:道

日記:2018年8月某日
映画「」を見る.1
1954年.監督:フェデリコ・フェリーニ.
出演:アンソニー・クイン(Zampano),ジュリエッタ・マシーナ(Gelsomina),リチャード・ベイスハート(Il Matto).
2
貧しい上に頭の足りないジェルソミーナは,母親に1万リラで売られ,芸人ザンパーノと共に旅に出る.
ザンパーノは野獣のような男,ジェルソミーナを強引に妻にするが,彼女にラッパや太鼓を仕込み,ジェルソミーナも懸命に芸を覚える.
しかし,行く先々で金ができると女と酒に入れ込むザンパーノに,自分は何のために生きているのかと涙を流すジェルソミーナ.一時合流したサーカスの一座で,空中ブランコを演じる「キ印」と呼ばれる青年に,「小石一つでもこの世に存在する価値がある」と励まされたジェルソミーナ,しかし「キ印」とザンパーノは折り合いが悪く,遂に或る日悲劇が起こる….3
天使の様に純情でしかし大人の哀しみを背負って人生を歩むジェルソミーナ,野獣のように思いのままに人生を突き進もうというザンパーノ.
この二人がいっとき共に歩いた道が,如何に貴重な日々だったのか.そのことに思い至って夜の海岸で慟哭するザンパーノのシーンは,目に焼き付いて離れない.
4
ニーノ・ロータの音楽が素晴らしい.
スリルもスペクタルもないが,映画とはこういうものだということを存分に味わえる名作,必見です.
★★★★☆(★5個が満点)
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2018/08/07

独断的映画感想文:ウインド・リバー

日記:2018年7月某日
映画「ウインド・リバー」を見る.1_3
2017年.監督:テイラー・シェリダン.
出演:ジェレミー・レナー(コリー・ランバート),エリザベス・オルセン(ジェーン・バナー),ジョン・バーンサル(マット),グレアム・グリーン(ベン),ケルシー・アスビル(ナタリー),ギル・バーミンガム(マーティン).
2_3
映画の冒頭,夜の雪原を走っていく女性.やがて力尽きて倒れる.続いて羊を狙う狼の群れを,純白の雪上用迷彩服を着て狙撃・射殺するコリーのシーン.
ワイオミングのネイティブ・アメリカン居留地:ウインド・リバーで働く魚類野生生物局の職員コリーは,牛を襲ったピューマを追跡中,雪原に倒れた女性の遺体を発見する.
3_3
遺体は親友マーティンの娘で,3年前に亡くなったコリーの娘の親友,ナタリーだった.ナタリーの死因は極寒中逃走したための肺損傷によるもの.通報で派遣されてきたFBIの捜査官ジェーンは,コリーに協力を求め,地元警察と共に捜査を進めるが….
コリーの娘もかって行方不明になり,発見された時はコヨーテに食い荒らされて,死因も不明だった.コリーは白人だが,娘の死後別れた妻はネイティブだ.過酷な自然の居留地で繰り返される少女の死は,何故起こるのか.
本作はクライムサスペンスであると同時に,娘を失った父の復讐劇でもある.4_3
犯罪捜査の進行を描く物語は,ワイオミングの自然の厳しさを描くと共に,居留地住民の生活の闇もあぶり出す.コリーはヤク中のナタリーの兄に,「おまえは軍にも大学にも行かずこの道を選んだ」と言う.居留地の若者の選択肢は少ないのだ.
事件は凄まじい銃撃戦で決着が付く(特にコリーによる狙撃は衝撃的だ)が,銃でしか決着をつけられないアメリカ社会もまた大きな闇の中にある.5_3
緊迫感に満ちた映像,ニック・ケイヴとウォーレン・エリスの音楽が素晴らしい.主演のジェレミー・レナー,エリザベス・オルセンの演技も素晴らしかった.見応えある映画.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:通し狂言 三國無雙瓢箪久(さんごくむそうひさごのめでたや)出世太閤記

日記:2018年7月某日
歌舞伎座で「七月大歌舞伎 昼の部」を見る.Kabukiza_taikoki201807
織田紘二 補綴・演出,石川耕士 補綴・演出,川崎哲男 補綴・演出,藤間勘十郎 補綴・演出.「通し狂言 三國無雙瓢箪久(さんごくむそうひさごのめでたや)出世太閤記 市川海老蔵宙乗り相勤め申し候」.序幕;第一場 西遊記(夢の場),第二場 本能寺の場,第三場 備中高松城外、秀吉陣中の場.二幕目;第一場 小栗栖村竹薮の場,第二場 近江湖水の場,第三場 松下嘉兵衛住家の場.大詰;第一場 大徳寺焼香の場,第二場 同 奥庭の場.
出演:羽柴秀吉/孫悟空(市川海老蔵),明智光秀/明智左馬之助(中村獅童),松下嘉兵衛/柴田勝家(市川右團次),北畠信雄(中村松江),加藤清正(坂東亀蔵),沙悟浄/滝川一益(中村亀鶴),秀吉女房八重(中村児太郎),三法師(堀越勸玄),福島正則(市村竹松),森蘭丸/片桐且元(大谷廣松),神戸信孝(市川男寅),脇坂安治(中村玉太郎),猪八戒/小栗栖長兵衛(市川九團次),高山右近(大谷桂三),中川清秀(澤村由次郎),村越伍助/佐久間信盛(片岡市蔵),丹羽長秀(河原崎権十郎),三蔵法師/筒井順慶(市川齊入),百姓畑作/佐々成政(市村家橘),紅少娥実は金毛九尾狐(市村萬次郎),前田利家(大谷友右衛門),光秀妻皐月(中村雀右衛門),嘉兵衛妻呉竹(中村東蔵).Kabukiza_shido201807
海老蔵の太閤記概要の解説に続き,冒頭は蘭丸の見た夢の中の孫悟空の場.ここで無理矢理宙乗りとなるが,ややとってつけた感じ.
この後は本能寺の変から大徳寺の信長法要までの50日間の物語.筋立ては込み入っていて光秀と左馬之助が早変わり二役だったりして判りにくい.
備中高松城外、秀吉陣中の場では,獅童・児太郎が海老蔵と絡んで笑いを取る場だが,ここも笑いが滑りまくって,獅童はこういう芝居が下手なのかと思ってしまう.
という訳で完成度はいまいち.大徳寺焼香の場では,勸玄ちゃんの三法師が,隣で懸命に台詞を喋っている海老蔵の横で,寝落ちしそうになって客席がざわつく.幸い自分の台詞を間違えずに堂々と言えたが,本作で最もスリリングなシーンだった.
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独断的映画感想文:きいろいゾウ

日記:2018年7月某日
映画「きいろいゾウ」を見る.1_2
2012年.監督:廣木隆一.
出演:宮崎あおい(妻利愛子(ツマ)),向井理(武辜歩(ムコ)),濱田龍臣(大地),浅見姫香(洋子),本田望結(幼少時代のツマ),リリー・フランキー(夏目),松原智恵子(セイカ),緒川たまき(緑),柄本明(アレチ).2_2
三重県の農村地帯の一軒家に住むムコとツマ.
ムコは地元の介護施設に勤めながら小説を書いている.ツマは少女のように純粋な女性,動物や草木の語る声を聴くことができる.出会ってすぐに結婚した二人だが,互いに相手の知らない秘密を抱えている.3_2
ツマは子供の頃心臓病のため入院していたが,満月を見ていた時きいろいゾウが現れ,その背に乗って世界中を旅した.その後心臓病は治ったが,月の影響を強く受け,また生きものの語る声が聞こえるようになる.
ムコは背中に美しい鳥のタトゥーを入れているが,それは鳥の絵を書くかっての恋人の原画をもとにしたものだった.ムコのもとにその恋人の夫から手紙が届き,ムコは東京に行く決意をする.そのことに激しく動揺するツマだったが….4_2
寡黙で飄々としているが感情にもろいムコを演じる向井理と,少女の感受性・大人の身体と狂気を備えたツマを演じる宮崎あおいの演技が,それぞれ見応えあるラブファンタジー.
過去を乗り越え大人の夫婦として新たな関係を作り始めるムコとツマ,彼等を囲む3組のカップルが織りなす物語が印象的だ.見て損はなし.
5_2
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:22年目の告白-私が殺人犯です-

日記:2018年7月某日
映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」を見る.221
2017年.監督:入江悠.
出演:藤原竜也(曾根崎雅人),伊藤英明(牧村航),夏帆(岸美晴),野村周平(小野寺拓巳),石橋杏奈(牧村里香),竜星涼(春日部信司),早乙女太一(戸田丈),平田満(滝幸宏),岩松了(山縣明寛),岩城滉一(橘大祐),仲村トオル(仙堂俊雄).222
1995年の阪神淡路大震災直後,東京で起こった5連続殺人事件.
捜査員・牧村刑事のアパートが爆破され,牧村の先輩・滝刑事が殉職するという最後の事件後犯人は姿を消し,必死の捜査も空しく事件は時効を迎えた.
ところがその後,曾根崎という男が「自分が犯人だ」と名乗って会見を開き,「私が殺人犯です」という告白本の出版を発表する.曾根崎は,被害者のもとを訪れ挑発したり,サイン会を開いたり,TV生出演を求めたりする.223
TVキャスター仙堂は,曾根崎に自分の番組への生出演を求め,曾根崎も了承したが….
出だしから,時効後の思いがけない犯行告白と美しい犯人という衝撃的な展開,被害者遺族の葛藤や,徐々に明らかになる事件の全貌等,丁寧な展開に引き込まれる.
ところが曾根崎の番組出演で強烈などんでん返しが判明するに至って,映画は先が見えなくなる.そして衝撃のラスト.なかなか良く練られたプロットだった.
224
藤原竜也が最近よく演じているサイコパス系の犯罪者,伊藤英明が見るからに体育会系の刑事,と思われるスタート時点の印象が,物語の進行に伴い変わっていく辺りも面白い.
エンタテインメントとして見応え充分.
★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 通し狂言 源氏物語

日記:2018年7月某日
歌舞伎座で「七月大歌舞伎 夜の部」を見る.Kabukiza_201807_f5_3d82cbba4495ec0b
今井豊茂 作,藤間勘十郎 演出・振付「通し狂言 源氏物語(げんじものがたり) 市川海老蔵宙乗り相勤め申し候」.
出演:光源氏/龍王(市川海老蔵),六条御息所(中村雀右衛門),右大臣(市川右團次),春宮後に朱雀帝(坂東亀蔵),葵の上/明石の上(中村児太郎),光の君/春宮(堀越勸玄),漁師(市村竹松),漁師(大谷廣松),漁師(市川男寅),藤大納言/漁師(中村鷹之資),漁師(中村玉太郎),頭中将(市川九團次),大宮/尼(市川齊入),左大臣(市村家橘),紫式部(市村萬次郎),兵部卿宮(大谷友右衛門),大命婦(中村東蔵),弘徽殿女御(中村魁春),六の君(板東玉朗),源の内侍(市川右若),能楽師出演者(片山九郎右衛門,梅若紀彰,観世喜正),闇の精霊(アンソニー・ロス・コスタンツォ),光の精霊(ザッカリー・ワイルダー).
回り舞台やセリの駆使はもとより,テノールとカウンターテナーのオペラ歌手,怨霊や生き霊・竜王等を演じる能楽師,劇場全体を使ったプロジェクションマッピング等々,従来の歌舞伎以外の要素を動員した絢爛豪華な舞台である.Kabukiza_genji201807
各開幕前の序曲や,アリアの伴奏をした洋楽の演奏も素敵.
海老蔵が竜王として宙乗りをした場面は良かったが,その為に源氏としての登場場面を大幅に削り,竜王の舞を延々と演じた辺りは,ややバランスを欠いた感あり.堀越勸玄の登場場面がドラマとしては最も盛り上がった感じがあるのもちょっとどうかしら.
雀右衛門の六条御息所がさすがの緊張感溢れる演技.終わってみればなかなかの力作で楽しかった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 日本振袖始(にほんふりそではじめ)

日記:2018年7月某日
国立劇場で歌舞伎鑑賞教室「日本振袖始(にほんふりそではじめ) 一幕―八岐大蛇(やまたのおろち)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)―」を見る.H3007kabukikansyokyoshitsuomote
二世藤間勘祖=振付,高根宏浩=美術,野澤松之輔=作曲.-出雲国簸の川川上の場-.主な配役:岩長姫実ハ八岐大蛇(中村時蔵),稲田姫(坂東新悟),素戔嗚尊(中村錦之助).
物語は素戔嗚尊が岩長姫の色香に騙され十握の宝剣を奪われたことや,稲田姫と恋仲になったことなどを事前説明でスルーして,稲田姫が八岐大蛇の生け贄になったところからスタート.
岩長姫が登場して瓶の酒を平らげた挙げ句,稲田姫をひと飲みする前半,本性を現した八岐大蛇と素戔嗚尊の大立ち回りの後半とで構成される.
舞踊劇だが良いテンポで楽しめた.途中の大薩摩も素晴らしく,歌と踊りを堪能した一幕.
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独断的映画感想文:ハクソー・リッジ

日記:2018年7月ぼ日
映画「ハクソー・リッジ」を見る.1
2016年.監督:メル・ギブソン.
出演:アンドリュー・ガーフィールド(デズモンド・ドス),サム・ワーシントン(グローヴァー大尉),ルーク・ブレイシー(スミティ・ライカー),テリーサ・パーマー(ドロシー・シュッテ),ヒューゴ・ウィーヴィング(トム・ドス),レイチェル・グリフィス(バーサ・ドス),ヴィンス・ヴォーン(ハウエル軍曹),ナサニエル・ブゾリック(ハル・ドス),ルーク・ペグラー(ハリウッド).2
デズモンドの父・トムは第1次大戦従軍者,戦争体験のためアル中となり,DVをふるう.デズモンドは非暴力を貫くことを信念とするにいたる.3
第2次大戦勃発後,兄ハルに続き軍に志願したデズモンドは衛生兵を目指すが,小銃訓練を拒否したため軍法会議にかけられることとなる….4
前半はデズモンドが父と恋人・ドロシーの協力で軍法会議を突破するに至る過程,後半は沖縄の激戦地ハクソー・リッジでのデズモンドの苦闘を描く,事実に基づいた映画.
この映画の後半,1時間にわたるハクソー・リッジでの日本軍との激戦は,酸鼻を極めた戦場描写で正視に耐えない.しかし戦争というものは実際こういうものなのだろう.そのことは受け入れざるを得ない.5
映画全体としてメル・ギブソンらしいあくの強い映画,唐突な日本軍指揮官の切腹シーンの挿入と言い,共感は出来なかった.
★★☆(★5個が満点)
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