独断的映画感想文:ウインド・リバー
日記:2018年7月某日
映画「ウインド・リバー」を見る.
2017年.監督:テイラー・シェリダン.
出演:ジェレミー・レナー(コリー・ランバート),エリザベス・オルセン(ジェーン・バナー),ジョン・バーンサル(マット),グレアム・グリーン(ベン),ケルシー・アスビル(ナタリー),ギル・バーミンガム(マーティン).
映画の冒頭,夜の雪原を走っていく女性.やがて力尽きて倒れる.続いて羊を狙う狼の群れを,純白の雪上用迷彩服を着て狙撃・射殺するコリーのシーン.
ワイオミングのネイティブ・アメリカン居留地:ウインド・リバーで働く魚類野生生物局の職員コリーは,牛を襲ったピューマを追跡中,雪原に倒れた女性の遺体を発見する.
遺体は親友マーティンの娘で,3年前に亡くなったコリーの娘の親友,ナタリーだった.ナタリーの死因は極寒中逃走したための肺損傷によるもの.通報で派遣されてきたFBIの捜査官ジェーンは,コリーに協力を求め,地元警察と共に捜査を進めるが….
コリーの娘もかって行方不明になり,発見された時はコヨーテに食い荒らされて,死因も不明だった.コリーは白人だが,娘の死後別れた妻はネイティブだ.過酷な自然の居留地で繰り返される少女の死は,何故起こるのか.
本作はクライムサスペンスであると同時に,娘を失った父の復讐劇でもある.
犯罪捜査の進行を描く物語は,ワイオミングの自然の厳しさを描くと共に,居留地住民の生活の闇もあぶり出す.コリーはヤク中のナタリーの兄に,「おまえは軍にも大学にも行かずこの道を選んだ」と言う.居留地の若者の選択肢は少ないのだ.
事件は凄まじい銃撃戦で決着が付く(特にコリーによる狙撃は衝撃的だ)が,銃でしか決着をつけられないアメリカ社会もまた大きな闇の中にある.
緊迫感に満ちた映像,ニック・ケイヴとウォーレン・エリスの音楽が素晴らしい.主演のジェレミー・レナー,エリザベス・オルセンの演技も素晴らしかった.見応えある映画.
★★★★(★5個が満点)
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