独断的映画感想文:散歩する侵略者
日記:2018年9月某日
映画「散歩する侵略者」を見る.
2017年.監督:黒沢清.出演:長澤まさみ(加瀬鳴海),松田龍平(加瀬真治),高杉真宙(天野),恒松祐里(立花あきら),前田敦子(鳴海の妹・明日美),満島真之介(丸尾),児嶋一哉(車田刑事),光石研(鈴木社長),東出昌大(牧師),小泉今日子(医者),笹野高史(品川),長谷川博己(ジャーナリスト・桜井).
或る日日本で宇宙人の侵略が始まる.
宇宙人は少年・天野と少女・あきらの肉体を侵略し,一家殺害事件を起こしたあきらの取材に来た記者・桜井を「ガイド」として,地球侵攻の準備を始める.桜井は彼等が宇宙人かどうか半信半疑ながら,記者根性で協力に応じる.
鳴海の夫・真治も侵略された一人.挙動がおかしくなった真治を病院に連れて行った鳴海は既に夫と破綻しかけていたが,侵略され一見以前の夫に近くなった真治への期待を持って,「ガイド」を勤めることになる.
侵略者は人間の持つ「概念」を情報収集のために奪うが,奪われた人間はその概念を失ってしまう.そこから巻き起きる騒動を交え,3人の侵略者が邂逅して進む宇宙人の侵攻の過程を描く….
侵略者と「ガイド」の関係が,物語の進行に伴ってどんどん変転していく独特の視点が面白い.特に,侵略者となったが本来の夫らしい個性を取り戻す真治と,再び夫にたいする溢れるような愛情を取り戻す鳴海の関係が,魅力的.演じる松田龍平と長澤まさみに見応えあり.
侵略者と戦う日本政府側は,ウィルス感染として対応した厚労省の担当エージェントが,縦割り行政のお陰か為す術もなく全滅するのが情けない.
ちょっと変わった侵略もの,見終わった後の気分は良い.
★★★☆(★5個が満点).
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