独断的映画感想文:わたしは、ダニエル・ブレイク
日記:2018年10月某日
映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」を見る.
2016年.監督:ケン・ローチ.
出演:デイヴ・ジョーンズ(ダニエル・ブレイク),ヘイリー・スクワイアーズ(ケイティ),ディラン・フィリップ・マキアナン(ディラン),ブリアナ・シャン(デイジー),ケイト・ラッター(アン),シャロン・パーシー(シェイラ),ケマ・シカズウェ(チャイナ).
大工として40年間生きてきたダニエル・ブレイク,しかし心臓病が見つかり医師からは仕事を止められる.
公的支援の手続に行くと,当初認められた支援は,役所が委託した民間会社の「医療専門家」スタッフとの面談で取り消されてしまう.その場で役所のスタッフに不当な取扱を受けていたケイティと知り合うが,彼女は未婚の2児の母だった.
ケイティ一家を支援しつつ不服審査申請の手続も進めるが,当面は就職活動をするようにとの役所の指示が出て,やむなく役所の指定した履歴書作成講習も受け,週35時間の就職活動を律儀にこなすダニエル.しかし根拠となるエビデンスがないという理由でその活動すら役所から認められず,かえって処罰を喰らう.
一方ケイティは自身を犠牲にしての育児に疲れ,万引きに手を出してしまう….
ダニエルとケイティを傷めつける役所の頑迷な保身行動は,何も英国保守党政権に限ったことではなく,我が国の現政権でも同様であろう.
この役所の,自身のルールを押し通すためにはひとの尊厳を傷つけ惨めな目に遭わせることを意に介さない様は,G.オーウェルの「1984年」を彷彿とさせるものがある.
主人公等を演じるデイヴ・ジョーンズとヘイリー・スクワイアーズが好演.ケイティが子供に食事を回した結果,飢えのあまりフードバンクで貰った食材をその場で口にしてしまうシーンは,涙を禁じ得ない.
またダニエルの,自身の不服審査で読み上げるための原稿も感銘的.
人間にとって尊厳が如何に大切なものかを,改めて思い出させる映画,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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