独断的映画感想文:光 2017・河瀬直美監督
日記:2018年10月某日
映画「光(2017・河瀬直美監督)」を見る.
2017年.監督:河瀬直美.
出演:永瀬正敏(中森雅哉),水崎綾女(尾崎美佐子),神野三鈴(智子/時枝),小市慢太郎(明俊),藤竜也(北林/重三).
美佐子は,ある映画の音声ガイドの作成を担当している.
視覚障害者に試作を何度もモニターしてもらうが,その評価は厳しい.特にラストシーン,「重三」と「時枝」の海辺のシーンは,中森から辛辣な指摘を繰り返し受ける.
美佐子は感情的に反発するが,上司の智子は中森の言葉に向き合う様,美佐子を指導する.
中森は天才的カメラマンだったが視力が低下,現在は視野に残った僅かな視界を通じ,拡大読書器や読み上げソフトの助けで意思疎通を確保している.
美佐子は智子の指示で中森の自宅に届け物をし,次第に中森と交流を重ねる様になる.中森の写真集にあった夕日の写真が,自分の実家の近くから撮ったものと気づき,一度共にその現場に行こうと約束する.
しかしある日遂に中森は完全に失明する….
中森の失明への過程,美佐子の音声ガイドへの取り組み,二人の交流の進展が織りなして語られる物語.映画は緊張感強く,淡々とした展開ながら一気に最後まで見通した.
河瀬監督特有の,風のざわめきを伴った樹々や,野山の風景が美しい.
永瀬正敏・水崎綾女が好演,神野三鈴も素晴らしかった.映画のラスト,新たな光を得て歩き出す中森・成長した美佐子の姿に感銘を受ける.
完成した音声ガイドの試写会で,ガイドを朗読する樹木希林の声も印象的だった.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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