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2018年12月に作成された記事

2018/12/21

番外:独断的歌舞伎感想文 2018年12月大歌舞伎夜の部 阿古屋/あんまと泥棒/二人藤娘

日記:2018年12月某日
歌舞伎座へ.12月大歌舞伎 夜の部を見る.Kabukiza_201812_f6_cc2ea36849d414a8
「一、壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき) 阿古屋」.出演:遊君阿古屋(玉三郎),秩父庄司重忠(彦三郎),榛沢六郎(坂東亀蔵),岩永左衛門(松緑).村上元三 作・演出・石川耕士 演出.「二、あんまと泥棒(あんまとどろぼう)」.出演:泥棒権太郎(松緑),あんま秀の市(中車).「三、二人藤娘(ににんふじむすめ)」.出演:藤の精(梅枝),藤の精(児太郎).
阿古屋は玉三郎絶品の演技と演奏.特に今回は琴を弾きながら歌う歌の美しさが印象的.細い声ながら,かき鳴らす琴に乗せた嫋々とした歌声が,誠に美しい.松緑の岩永,彦三郎の重忠もそれぞれに良く,素晴らしい舞台だった.Img_20181220_161715
あんまと泥棒は中車の独壇場,松緑が人の良い泥棒で,まあ予想通りの結末.
二人藤娘は梅枝・児太郎共に美しく,踊りにうっとり.また長唄囃子連中の演奏も素晴らしかった.
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独断的映画感想文:リトル・フォレスト 冬・春

日記:2018年12月某日
映画「リトル・フォレスト 冬・春」を見る.1
2015年.監督:森淳一.
出演:橋本愛(いち子),三浦貴大(ユウ太),松岡茉優(キッコ),温水洋一(シゲユキ),桐島かれん(福子).
東北のとある山奥の集落・小森に住むいち子.母は5年前に失踪しそれ以来一人で暮らす.
一度街に出たこともあるが,彼氏と別れまた小森に戻ってきた.小森は役場のある街まで自転車の下り道で30分,登りはどれほどかかるのか.
3
いち子は森と沢と田圃に囲まれた一軒家で,野菜を作り山菜を採り田を耕し,採れたものを母に習ったレシピで料理し食べる生活を続けていく.
秋に母から届いた手紙,親友キッコとの小さな口げんか,後輩ユウタからの批判.いち子は自分は他人と向き合わず逃げている,自分にとって家族とは何かと思い悩むが….2
何事にも真面目に取り組み,冷静ないち子の淡々とした日々の暮らしを大自然の中で描く,四季4部作の後半2部.前半2部と同様,美しい自然の中,子どもの時のいち子も含め小森での生活がより立体的に描かれる.
物語の展開は極めてゆっくりだが,日々の描写が充実していて間断するところはない.映画の最後でいち子の出した結論,そしてエピローグへと流れる物語も納得のいくものだった.
4
淡々とした映画だが,時に描かれるユーモアある場面が効果的(キャベツケーキのくだりは爆笑した).宮内優里の音楽・FLOWER FLOWERの主題歌も聞き応えあり.
★★★★(★5個が満点).
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2018/12/13

独断的映画感想文:リトル・フォレスト 夏・秋

日記:2018年12月某日
映画「リトル・フォレスト 夏・秋」を見る.1_2
2014年.監督:森淳一.
出演:橋本愛(いち子),三浦貴大(ユウ太),松岡茉優(キッコ),温水洋一(シゲユキ),桐島かれん(福子).
2_2
いち子は東北の山奥,小森という集落に暮らしている.集落に商店はなく,役場のある町の中心地に商店が幾つかあるが,そこまで自転車の下り道で30分.帰りはどのくらいかかるのか.
田圃と森と沢に囲まれた一軒家に一人暮らすいち子は,半ば自給自足の農業生活を送っている.
3_2
二人で暮らしていた母は5年前に出て行った.いち子も一時都会で男と暮らしたが,破綻して戻ってきた.
今は幼馴染みのキッコやユウタ,キッコのおばあちゃんと付き合いながら,日々を送っている.
映画は移ろう季節を追いながら,季節毎に得られる自然の恵みを料理し,お皿に載せて頂くまでを詳細に描いていく.
4_2
こう書けば今どきの田舎暮らしのテレビ番組の様だが,合鴨を絞めて毛をむしり解体して頂くところまで詳細に描くカメラは,やはり映画.またゆっくりながら物語は少しずつ動いている.
映画はこの巻で夏・秋を連続上映し,冬・春で4部作が完了する.5_2
とにかく映像は美しい.冒頭の大木の梢に静止していたアオサギがふわりと飛び立つシーンだけで,魅了されてしまう.
★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年12月国立劇場「通し狂言 増補双級巴―石川五右衛門」

日記:2018年12月某日
国立劇場で歌舞伎を見る.Dec_flyer4c_final
三世瀬川如皐=作.国立劇場文芸研究会=補綴.国立劇場美術係=美術.「通し狂言 増補双級巴 (ぞうほふたつどもえ) ―石川五右衛門(いしかわごえもん)―四幕九場:中村吉右衛門宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候」.
発端 芥川の場.序幕 壬生村次左衛門内の場.二幕目 第一場 大手並木松原の場/第二場 松並木行列の場.三幕目 第一場 志賀都足利別館奥御殿の場/第二場 同 奥庭の場/第三場 木屋町二階の場.大詰 第一場 五右衛門隠家の場/第二場 藤の森明神捕物の場.
主な配役:石川五右衛門(中村吉右衛門),壬生村の次左衛門(中村歌六),三好修理太夫長慶(中村又五郎),此下藤吉郎久吉後ニ真柴筑前守久吉(尾上菊之助),大名粂川但馬(中村松江),大名田島主水/早野弥藤次(中村歌昇),足柄金蔵/大名白須賀民部(中村種之助),次左衛門娘小冬(中村米吉),大名天野刑部/小鮒の源五郎(中村吉之丞),大名星合兵部/三二五郎兵衛(嵐橘三郎),呉羽中納言氏定/大名六角右京(大谷桂三),足利義輝(中村錦之助),傾城芙蓉/五右衛門女房おたき(中村雀右衛門),義輝御台綾の台(中村東蔵).
前半序幕からは,自らの出自を知った石川五右衛門が大望を抱き,勅使に化けて将軍邸に乗り込み,幼馴染みの此下藤吉郎に見破られ,つづらで宙を飛び脱出するという,なかなか派手な展開.
しかし後半では,その前半は全て夢であったというところからスタートし,話のスケールが一挙に小さくなったという印象は否めない.
結局五右衛門は親子の情愛の絡んだ葛藤の挙げ句,此下藤吉郎に捕縛されるのだが,最後の立ち回りも老優吉右衛門にはいささか酷で,通し狂言ではなく途中で止めておけば良かったのにというのが正直なところ.
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独断的映画感想文:希望のかなた

日記:2018年12月某日
映画「希望のかなた」を見る.1
2017年.監督,製作,脚本:アキ・カウリスマキ.
出演:シェルワン・ハジ(カーリド),サカリ・クオスマネン(ヴィクストロム),シーモン・フセイン・アル=バズーン(マズダック),カイヤ・パカリネン(ヴィクストロムの妻),ニロズ・ハジ(ミリアム),イルッカ・コイヴラ(カラムニウス),ヤンネ・フーティアイネン(ニュルヒネン),ヌップ・コイヴ(ミルヤ),カティ・オウティネン(洋品店の女店主),マリア・ヤンヴェンヘルミ(収容施設の女性).2
映画の冒頭,貨物船の積荷の石炭の山から,小柄な男・カリードが這いだしてくる.カリードは上陸して身だしなみを整えると,警察に出頭し難民申請を行う.
カリードはシリアのアレッポで家を空爆され,妹以外の家族は全員死んだ.妹とトルコに逃れ幾つもの国境を越えてきたが,途中で妹とはぐれてしまう.フィンランドで仕事を見つけ,妹を探したいと言う.
3
カリードは難民宿舎で暮らすが,審査の結果は強制送還だった.カリードは強制送還直前に,難民宿舎の担当者の手引で脱走する.
一方,洋品卸商のヴィクストロムは,酒浸りの妻に愛想を尽かし家を出る.仕事にも行き詰まった彼は,ポーカーの大勝負で得た金を元手に古いレストランを従業員ごと買い,レストランのオーナーとなる.
4
或る日レストランの敷地で野宿していたカリードと出会ったヴィクストロムは,カリードを雇い入れ,偽造の身分証を世話してやる.居場所の見つかったカリードは妹の行方を必死に探すが….
フィンランド社会で苦闘する難民カリードの姿を,役人・警察・極右と一般市民等の対応を対比的に描きながら語っていく.
5
と言ってもカウリスマキ流のユーモアにくるまれ,素敵な仕上がり.客寄せのためにわかスシ店を開店するエピソードが傑作.俳優の演技が素っ気なく,寓話的な雰囲気を醸し出す.トランプの怒号にはこういう雰囲気で応えるのが文明的かも知れない.
昔のスエーデンのバンド:スプートニクスに似た,フィンランド・バンドの音楽も随所に挿入されて楽しい.
★★★★(★5個が満点)
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2018/12/08

番外:独断的歌舞伎感想文 2018年11月国立劇場 通し狂言 名高大岡越前裁 (なもたかしおおおかさばき)

日記:2018年11月某日
国立劇場へ.歌舞伎を見る.Ph_content02_01
河竹黙阿弥=作,国立劇場文芸研究会=補綴,国立劇場美術係=美術.「通し狂言 名高大岡越前裁 (なもたかしおおおかさばき)」.六幕九場.序幕 第一場 紀州平沢村お三住居の場,第二場 紀州加田の浦の場,二幕目 美濃長洞常楽院本堂の場,三幕目 第一場 大岡邸奥の間の場,第二場 同 無常門の場,第三場 小石川水戸家奥殿の場,四幕目 南町奉行屋敷内広書院の場,五幕目 大岡邸奥の間庭先の場,大詰 大岡役宅奥殿の場」.
主な配役:大岡越前守忠相(中村梅玉),大岡妻小沢(中村魁春),法沢後二天一坊(市川右團次),田口千助(中村松江),吉田三五郎(市川男女蔵),下男久助/池田大助(坂東彦三郎),大岡一子忠右衛門(市川右近),お三(中村歌女之丞),僧天忠/久保見杢四郎(嵐橘三郎),土屋六郎右衛門(大谷桂三),伊賀亮女房おさみ(市川齊入),平石治右衛門(坂東秀調),名主甚右衛門(市村家橘),山内伊賀亮(坂東彌十郎),徳川綱條(坂東楽善).
八代将軍吉宗のご落胤を名乗る天一坊と,大岡越前守を巡る虚々実々の闘いを描く.明治8年初演の河竹黙阿弥作品の再演.
梅玉の大岡越前,魁春のその妻,右團次の天一坊他,脇役連中も役者は揃っている.梅玉の大岡越前はニンが合っていて見応えあり.また梅丸が下女お霜,徳川綱條近習・主税の2役で活躍したのもうれしい.
しかしその割には客席は空きが目立って,連休というのに寂しい限り.
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独断的映画感想文:スター・ウォーズ/最後のジェダイ

日記:2018年11月某日
映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を見る.1_4
2017年.監督:ライアン・ジョンソン.
出演:マーク・ハミル(ルーク・スカイウォーカー),キャリー・フィッシャー(レイア・オーガナ),アダム・ドライヴァー(カイロ・レン),デイジー・リドリー(レイ),ジョン・ボイエガ(フィン),オスカー・アイザック(ポー・ダメロン),アンディ・サーキス(最高指導者スノーク),ルピタ・ニョンゴ(マズ・カナタ),ドーナル・グリーソン(ハックス将軍),アンソニー・ダニエル(C3PO),グウェンドリン・クリスティー(キャプテン・ファズマ),ケリー・マリー・トラン(ローズ),ローラ・ダーン(アミリン・ホルドー中将),ヨーナス・スオタモ(チューバッカ),ジミー・ヴィー(R2-D2),ベニチオ・デル・トロ(DJ).
前作で遂にルーク・スカイウォーカーの居場所をき止めたレイ,ところがルークは再びジェダイとして参戦することを拒否する.しかしレイの中にジェダイの素質を見たルークは,レイに3つの教えを授けるのだった.
一方,レイア姫率いるレジスタンスは,ハックス将軍率いる艦隊の急襲を受け辛くも脱出するが,壊滅的な打撃を受ける.冒険主義的な突撃で敵戦艦ドレッドノートを破壊するきっかけを作ったポーは,しかし爆撃部隊壊滅の責任を問われ降格される.2_3
亜空間をジャンプしたレジスタンスの艦隊をハックスの艦隊が追尾してくる.フィンは敵艦隊に潜入し追尾装置の破壊を企むが,その為には敵艦隊に侵入するコード破りの技術が必要だった.フィン達はその技術を持つDJを捜しに惑星カントニカに向かうが….
150分を超える長尺の本作,レイの活動,フィンの活動,ポーとレジスタンス本隊の活動が交錯し,物語は極めて複雑.更にレイがジェダイへの道を歩むのか,カイロ・レン(=ベン・ソロ)が本当にダーク・サイドに落ちることになるのか,この辺りも複雑な展開を遂げる.3_4
本作は単独で見た場合は何がなにやら全く判らないという意味で,筋は判らなくても映画は楽しめたという従来のスターウォースに比べ,評価は低くならざるを得ない.
更にレジスタンスは十数名の残党が残るのみである.統合の象徴たるレイア姫(を演じるキャリー・フィッシャー)は死んだ.第3部では如何なる奇手をもって大団円とするのか,はてさて.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ボヘミアン・ラプソディ

日記:2018年11月某日
映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見る.1_3
2018年.監督:ブライアン・シンガー.
演:ラミ・マレック(フレディ・マーキュリー),ルーシー・ボーイントン(メアリー・オースティン),グウィリム・リー(ブライアン・メイ),ベン・ハーディ(ロジャー・テイラー),ジョセフ・マッゼロ(ジョン・ディーコン).2_2
ロックグループ・クィーンのリード・ヴォーカル:フレディ・マーキュリーの物語.1973年のデビュー前から1985年のライブエイドでのパフォーマンスまでを描く.
3_3
映画では1985年のライブエイド直前にはクィーンは崩壊,フレディ・マーキュリーは既にAIDSを発症しており,自分の死を意識したフレディがライブエイドのために他のメンバーとの間を修復した様に描かれている.この物語が事実に基づくかどうかは,自分にはよく判らない.また映画では,フレディの出自,家族との関係,性的嗜好,メンバーとの関係はいずれも深く掘り下げられてはいない.4_2
しかしまあそれは実はどうでも良いことだ.この映画はそういうことを深く掘り下げるドラマではなく,クィーン自身による,フレディとクィーンの神話であり伝説であるのだから.
5_2
観客は彼等が如何に独創的にその音楽を作り出し,如何にそれが成功していったかを見るだろう.そしてフレディの光と影,紆余曲折,有為転変の後に,ライブエイドで最高の21分間のパフォーマンスを演じることを見るだろう.その喜びは,何ものにも替え難い.この映画の素晴らしさはここにあり,その点に文句は無し.
★★★★(★5個が満点)
蛇足:映画の終盤,ライブエイドの楽屋にクィーンの面々が入る時,舞台からダイアー・ストレイツが演奏するやはりこのライブの名演「悲しきサルタン」が,バックに流れている.これも懐かしかった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2018年11月吉例顔見世大歌舞伎夜の部 楼門五三桐/文売り/法界坊

日記:2018年11月某日
吉例顔見世大歌舞伎夜の部を見る.Kabukiza_201811_ffl_fa949b590fde523
「一、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」.出演:石川五右衛門(吉右衛門),右忠太(歌昇),左忠太(種之助),真柴久吉(菊五郎).「二、文売り(ふみうり)」.出演:文売り(雀右衛門).奈河七五三助 作,石川耕士 補綴.「三、隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ) 法界坊:向島大七入口の場,同 座敷の場,向島牛の御前鳥居前の場,同 三囲土手の場,隅田川渡しの場」.浄瑠璃「双面水澤瀉」.〈法界坊〉.出演:聖天町法界坊(猿之助),五百平(巳之助),おくみ(尾上右近),野分姫(種之助),手代要助(隼人),代官牛島大蔵(吉之丞),おらく(門之助),大阪屋源右衛門(團蔵),道具屋甚三(歌六).〈双面水澤瀉〉.出演:法界坊の霊/野分姫の霊(猿之助),おくみ(尾上右近),手代要助実は松若丸(隼人),渡し守おしづ(雀右衛門).Kabukiza201811houkaibou
猿之助初演の法界坊が楽しみだったが,2時間半を超える舞台があっという間だった.
勘三郎の,抱腹絶倒のまま最後まで突っ走る法界坊に比べ,猿之助の持ち味が出た見応えある芝居.
大七座敷の場ではおくみ,要助のしゃべくりも全体の進行も,もう少しテンポ良いほうが望ましかった.ただし,團蔵や右近という配役だとこの方が良いのかも知れない.弘太郎の番頭はいまいち.
最後の場「双面水澤瀉」では,法界坊と野分姫の合体した亡霊が町娘おくみの姿を取って現れるという難しい設定を,美しい女形の姿で見事に演じた.猿之助の素晴らしさに納得.
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独断的映画感想文:日日是好日(にちにちこれこうじつ)

日記:2018年11月某日
映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」を見る.1_2
2018年.監督:大森立嗣.
出演:黒木華(典子),樹木希林(武田先生),多部未華子(美智子),原田麻由(田所),川村紗也(早苗),滝沢恵(由美子),山下美月(ひとみ),郡山冬果(郡山冬果),岡本智礼(典子の弟),鶴田真由(雪野),鶴見辰吾(典子の父).
典子は大学2年生,真面目で理屈っぽく不器用.ふとしたことから従兄弟の美智子とお茶を習い始める.4
お茶の師匠の武田先生は近くの大きな家に一人で住む.始めの日から袱紗さばきをみっちり仕込まれ,途惑う二人.お茶は理屈でなく形を身につけることから,と武田先生は言う.
何時しか1年2年と続けていく二人だった….5
美智子が実家に帰って結婚・出産しても一人でお茶を続けていく典子.いつか後輩も出来るが,不器用な先輩であることは変わらない.
しかし静かな茶室に通ううちに茶釜の湯の音と水の音が違うことに気付いたり,掛け軸の意味がふと判ったりする.映画は大きなドラマの展開を描く訳ではなく(登場人物に恋愛やら失恋やらがない訳ではないが),只ひたすら武田先生のお稽古の進展と美智子の心の変化を描いていく.
3_2
四季の移りを描くカメラや,水音,蝉の声,鳥の鳴き声を拾っていく音響が素晴らしい.俳優では亡くなって間もない樹木希林の登場がうれしく,存在感は圧倒的.黒木華はいつも通りの達者な演技.父娘の情愛を演じた鶴見辰吾が良かった.
6
見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:三度目の殺人

日記:2018年11月某日
映画「三度目の殺人」を見る.1
2017年.監督:是枝裕和.
出演:福山雅治(重盛朋章),広瀬すず(山中咲江),満島真之介(川島輝),市川実日子(篠原一葵),松岡依都美(服部亜紀子),蒔田彩珠(重盛結花),井上肇(小野稔亮),橋爪功(重盛彰久),斉藤由貴(山中美津江),吉田鋼太郎(摂津大輔),役所広司(三隅高司).
冒頭,三隈高司の殺人シーン,被害者を後から殴り倒し,殺人後灯油をかけて焼く.
辣腕弁護士・重盛朋章は同期の摂津から頼み込まれ,殺人犯三隈高司の国選弁護を引き受ける.三隈は殺人自体は認めているものの,供述がころころ変わり摂津は弁護方針を立てられないでいた.
重盛の父はかって裁判官だった時三隈の最初の強盗殺人事件を担当しており,その判決によって三隈は30年間服役し,出所して間もない状況だった.
三隈の事件を当時捜査した警察官も三隈の供述がころころ変わったことを指摘し,空っぽの器の様な男だったと語る.
3
このままでは死刑を免れないため,重盛は何とか無期懲役に持ち込むべく調査を重ねるが,三隈と被害者の娘・咲江との間に,意外な接点のあることが判明する….
ミステリーではあるが,謎解きが完了したとは言い難い.様々な可能性が錯綜したまま,有罪判決が出て映画は終わってしまう.
重盛自身は,今回の事件は咲江を守るために行われ,また咲江を守るために三隈は自らに不利な主張を敢えて行ったと考えるが,果たしてそうか.そもそも強盗殺人で30年間服役していた男が何故そのような行動を取るのか.2
映画の中盤では冒頭の殺人シーンが再び挿入されるが,今回は三隈と共に咲江も殺人に参加している.この場面は誰の想像シーンなのか.
役所広司の,掴み所のない三隈の供述演技もうますぎて,三隈自身の人柄も掴めないままだ.むしろ監督は,何も真実が判らないまま死刑判決が平然と出される,日本の裁判制度の現状を描いたのかも知れない.映画としての成功・不成功が今ひとつ明確でない.
★★★(★5個が満点)
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