独断的映画感想文:三度目の殺人
日記:2018年11月某日
映画「三度目の殺人」を見る.
2017年.監督:是枝裕和.
出演:福山雅治(重盛朋章),広瀬すず(山中咲江),満島真之介(川島輝),市川実日子(篠原一葵),松岡依都美(服部亜紀子),蒔田彩珠(重盛結花),井上肇(小野稔亮),橋爪功(重盛彰久),斉藤由貴(山中美津江),吉田鋼太郎(摂津大輔),役所広司(三隅高司).
冒頭,三隈高司の殺人シーン,被害者を後から殴り倒し,殺人後灯油をかけて焼く.
辣腕弁護士・重盛朋章は同期の摂津から頼み込まれ,殺人犯三隈高司の国選弁護を引き受ける.三隈は殺人自体は認めているものの,供述がころころ変わり摂津は弁護方針を立てられないでいた.
重盛の父はかって裁判官だった時三隈の最初の強盗殺人事件を担当しており,その判決によって三隈は30年間服役し,出所して間もない状況だった.
三隈の事件を当時捜査した警察官も三隈の供述がころころ変わったことを指摘し,空っぽの器の様な男だったと語る.
このままでは死刑を免れないため,重盛は何とか無期懲役に持ち込むべく調査を重ねるが,三隈と被害者の娘・咲江との間に,意外な接点のあることが判明する….
ミステリーではあるが,謎解きが完了したとは言い難い.様々な可能性が錯綜したまま,有罪判決が出て映画は終わってしまう.
重盛自身は,今回の事件は咲江を守るために行われ,また咲江を守るために三隈は自らに不利な主張を敢えて行ったと考えるが,果たしてそうか.そもそも強盗殺人で30年間服役していた男が何故そのような行動を取るのか.
映画の中盤では冒頭の殺人シーンが再び挿入されるが,今回は三隈と共に咲江も殺人に参加している.この場面は誰の想像シーンなのか.
役所広司の,掴み所のない三隈の供述演技もうますぎて,三隈自身の人柄も掴めないままだ.むしろ監督は,何も真実が判らないまま死刑判決が平然と出される,日本の裁判制度の現状を描いたのかも知れない.映画としての成功・不成功が今ひとつ明確でない.
★★★(★5個が満点)
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