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2019年1月に作成された記事

2019/01/27

番外:独断的歌舞伎感想文 2019年1月壽 初春大歌舞伎 夜の部 絵本太功記/勢獅子/松竹梅湯島掛額

日記:2019年1月某日
歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎 夜の部 絵本太功記/勢獅子/松竹梅湯島掛額」を見る.Kabukiza_201901_fff_e9ef5e56968372e
「一、絵本太功記(えほんたいこうき) 尼ヶ崎閑居の場」.出演:武智光秀(吉右衛門),操(雀右衛門),初菊(米吉),武智十次郎(幸四郎),佐藤正清(又五郎),真柴久吉(歌六),皐月(東蔵).「二、勢獅子(きおいじし)」.出演:鳶頭(梅玉),鳶頭(芝翫),芸者(雀右衛門),芸者(魁春).福森久助 作「三、松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく) 吉祥院お土砂の場 四ツ木戸火の見櫓の場・浄瑠璃『伊達娘恋緋鹿子』」.出演:紅屋長兵衛(猿之助),八百屋お七(七之助),小姓吉三郎(幸四郎).
絵本太功記は配役は5年前に見た時とほぼ同じ,母の死と息子の討ち死にを眺めながら微動だにせず舞台を支配する,吉右衛門の存在感が素晴らしい.幸四郎と米吉の情愛も心に残る.
勢獅子はお正月らしく明るく楽しい.若手で中村鷹之資が獅子舞で出ている.もう19歳なのだ.小柄なのは富十郎に似たのだろうか.
松竹梅湯島掛額は1幕目がドタバタ喜劇で,猿之助その他のギャグがテンポ良く抱腹絶倒.2幕目はお七の悲劇,七之助の人形振りの踊りが素晴らしい.
見応えある夜の部だった.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年1月 新春浅草歌舞伎 1部2部

日記:2019年1月某日
「新春浅草歌舞伎 1部2部」を見る.Asakusa_2019f4_9d0f304853b1d7c8f260
第1部 お年玉〈年始ご挨拶〉.「一、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)」.出演:浪花の次郎作実は石川五右衛門(中村歌昇),禿たより(中村梅丸).吾妻の与四郎実は真柴久吉(中村 種之助).「源平布引滝二、義賢最期(よしかたさいご)」.出演:木曽先生義賢(尾上松也),下部折平実は多田蔵人行綱(中村隼人),進野次郎宗政(中村橋之助),御台葵御前(中村鶴松),待宵姫(中村梅丸),矢走兵内(中村種之助),小万(坂東新悟).岡村柿紅 作.「三、芋掘長者(いもほりちょうじゃ)」.出演:芋掘藤五郎(坂東巳之助),友達治六郎(中村橋之助),息女緑御前(坂東新悟),腰元松葉(中村鶴松),菟原左内(中村歌昇),魁兵馬(尾上松也).
第2部.お年玉〈年始ご挨拶〉.「一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」.出演:曽我五郎時致(尾上松也),曽我十郎祐成(中村歌昇),小林朝比奈(坂東巳之助),大磯の虎(坂東新悟),鬼王新左衛門(中村隼人),化粧坂少将(中村梅丸),工藤左衛門祐経(中村錦之助).岡本綺堂 作.「二、番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)」.出演:青山播磨(中村隼人),腰元お菊(中村種之助),腰元お仙(中村鶴松),放駒四郎兵衛(中村橋之助),後室真弓(中村錦之助).「三、乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)」.出演:萬歳(坂東巳之助),才造(中村種之助),白酒売(坂東新悟),大工(中村隼人),女船頭(中村橋之助),芸者(中村鶴松),子守(中村梅丸),若旦那(中村歌昇),通人(尾上松也).
今回の浅草は踊りが楽しかった.踊りのことなど何も知らない小生がいうので当てにはならぬが,芋掘り長者のラストシーンの楽しさ(芋掘り踊りを,お姫様や腰元からライバルの若殿達までラインダンスで踊り始める),乗合船惠方萬歳の充実感(全員が短い踊りを披露しあうのだがいずれ劣らぬ手練れ揃い)はなかなかのものだ.
一方番長皿屋敷の緊張感はどうだろう.これはやはり岡本綺堂の戯曲が余程良いのだ.幸せの絶頂から絶望に引き落とされるお菊,一片の曇りも無い潔白を菊に疑われた青山播磨の無念さ.これを演じる隼人と種之助の芝居が素晴らしく見応えあり.
新悟,橋之助も充実感あり,鶴松が美しく今後への期待が大.
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2019/01/18

独断的映画感想文:アウトレイジ 最終章

日記:2019年1月某日
映画「アウトレイジ 最終章」を見る.1
2017年.監督:北野武.
出演:ビートたけし(大友),西田敏行(西野),大森南朋(市川),ピエール瀧(花田),松重豊(繁田),大杉漣(野村),塩見三省(中田),白竜(李),名高達男(白山),光石研(五味),原田泰造(丸山),池内博之(吉岡),津田寛治(崔),金田時男(張),中村育二(平山),岸部一徳(森島).3
済州島に遊びに来ていた日本のやくざ花菱会の花田は,ホテルに呼んだ女とトラブった挙げ句,地元のやくざの若い者を殺してしまう.日本に逃げ帰った花田は,済州島を仕切っている韓国のやくざ・張に詫びを入れに行くが相手にもされない.
2
花菱会会長の野村は,これを奇貨として張への攻撃を花田に命じる一方,花田のカシラ・西野を処分する様,西田の手下・中田に命じる.中田は野村の指示を受けると見せて西野と通じ,野村への反撃の機会を待つ.
一方済州島で張の庇護下にあった大友は,花田に若い者を殺された復讐に,日本に潜入し花菱会殲滅の機会を窺う….
4
このシリーズの最終章,武闘派やくざ・大友の最後の活躍を描く.北野監督得意のやくざ抗争ものだが,前回作に比べれば緊張度は低く,プロットの構成もいまいち.
老ヤクザ大友の暴力性の魅力は相変わらずだが,相手となる花田や野村が存在が軽すぎて面白くない.以前には暴力性の裏には悲哀が見て取れたが,今回はそういう陰も感じられない.

5
俳優で見応えがあったのは,西田敏行と白竜,金田時男くらいか.
★★★(★5個が満点)
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2019/01/14

独断的映画感想文:レッド・スパロー

日記:2019年1月某日
映画「レッド・スパロー」を見る.1_3
2018年.監督:フランシス・ローレンス.
出演:ジェニファー・ローレンス(ドミニカ・エゴロワ),ジョエル・エドガートン(ネイト・ナッシュ),マティアス・スーナールツ(ワーニャ・エゴロフ),シャーロット・ランプリング(監督官),ジェレミー・アイアンズ(コルチノイ).4_3
ボリショイバレー団のバレリーナ・ドミニカは,『事故』のため重傷を負い,バレリーナの道を絶たれる.国家による生活費と母の治療費を共に失った彼女は,ロシア諜報機関員の叔父・ワーニャの勧めで,女スパイ・スパロ-の訓練を受ける.
やがてドミニカは訓練を終え,CIA捜査官ネイトに接近する様指示される.ネイトと連絡を取っているロシア諜報機関内の大物が誰かを,明らかにすることがミッションだった.2_3
ネイトと接触したドミニカ,二人は互いに惹かれ合うが,一方両者は相手の信頼をもとに敵諜報機関を如何に偽計に乗せるか死力を尽くして渡り合う….
美貌と才能に恵まれたドミニカの,スパイとしての活躍を描く.但しドミニカは只のスパイではない.
自らがスパイを選ばざるを得なかった経過と,母の「相手に全てを委ねてはならない」という忠告に基づき,ドミニカは与えられたミッションの中で独自の活動を積み重ねていく.3_3
観客も最後まで,ドミニカの真意が何処にあるかを見極められないだろう.ジェニファー・ローレンスの美貌と演技も見応えあり,またシャーロット・ランプリング),ジェレミー・アイアンズの両大御所も適役である.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:家へ帰ろう

日記:2019年1月某日
映画「家へ帰ろう」を見る.1_2
2017年.監督:パブロ・ソラルス.
出演:ミゲル・アンヘル・ソラ(アブラハム),アンヘラ・モリーナ(マリア),オルガ・ボラズ(ゴーシャ),ナタリア・ベルベケ(クラウディア),マルティン・ピロヤンスキー(レオナルド),ユリア・ベーアホルト(イングリッド).4_2
アルゼンチンに住む88歳のユダヤ人の仕立屋・アブラハム.引退して家や家財は子供達に分配し,自身は老人ホームに入ることになる.
ところがそのお別れパーティーの夜,アブラハムは密かに家を脱出,ワルシャワで人と会うべく,空路マドリッドに向かう.2_2

アブラハムは大戦中ワルシャワのゲットーに収容された.辛うじて脱出した彼を,父の使用人の息子で兄弟同様に育ったピオトレックが助けてくれた.アブラハムは,自分が最後に作ったスーツを,彼にプレゼントするべく出かけたのだ.
マドリッドに着いた彼は,女主人マリアの安宿に泊まる.ところが旅の疲れで寝込んだ彼は目的の列車に乗り遅れてしまい,マリアと一緒に飲みに出かける.無愛想と思われたマリアだが,実は親身な女性,意気投合して帰ってきたホテルの部屋には泥棒が入り,彼の全財産が盗まれていた….
艱難辛苦に見舞われながらワルシャワを目指すアブラハム,しかもドイツの地は踏まないという固く心に誓った制約がある.6
マリアをはじめ,ドイツ人の文化人類学者,ワルシャワの看護師等,見ず知らずのアブラハムを助ける人々と共にゆったりと進行するロードムービー.
共演者ではマリアの存在感が抜群,特に酒場で披露する歌,アブラハムに打ち明ける過去の夫達のエピソードなど,素晴らしい味付けになっている.
また随所に挿入される,アブラハムの子ども時代の思い出の断章も印象深い.特に映画の冒頭,哀愁に満ちた音楽に乗ってダンスに興じるユダヤ人達の笑顔のシーンは,胸に残る.3_2
映画のラスト,長く辛い人生の決着をこの様な形でつけることが出来たアブラハム,ここまでの旅の経過を思い合わせ,涙を禁じ得ない.味わい深い映画,見て損はなし.
★★★★☆(★5個が満点)
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年新橋演舞場 歌舞伎初春大公演-夜の部 鳴神/牡丹花十一代/俊寛

日記:2019年1月某日
「新橋演舞場 歌舞伎初春大公演-夜の部」を見る.Shinbashi_201901_f5_35685a5efa84a10
「一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)」.出演:鳴神上人(右團次).雲の絶間姫(児太郎).十一世市川團十郎生誕百十年.「二、牡丹花十一代(なとりぐさはなのじゅういちだい)」.出演:鳶頭(海老蔵),手古舞(堀越麗禾),鳶頭(堀越勸玄),鳶頭(右團次),差配人(男女蔵),芸者(児太郎),鳶の者(男寅),芸者(廣松),鳶の者(九團次),差配人(市蔵),茶屋女房(齊入),世話役(家橘),芸者(孝太郎).近松門左衛門 作.「三、平家女護島-俊寛(しゅんかん)」.出演:俊寛僧都(海老蔵),海女千鳥(児太郎),丹波少将成経(九團次),平判官康頼(男女蔵),瀬尾太郎兼康(市蔵),丹左衛門尉基康(右團次).福地桜痴 作.「四、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」.出演:小姓弥生後に獅子の精(海老蔵),老女飛鳥井(齊入),家老渋井五左衛門(家橘).
休憩入れて5時間を越える長丁場,役者も客も大変である.
鳴神は,右團次が相変わらず何を言っているか判らない.
牡丹花十一代は成田屋万歳の演目だが,堀越麗禾・勸玄の両子役のかわいさが全て引っさらう,これはこれで大いに見応えあり.
海老蔵の俊寛・鏡獅子は海老蔵大奮闘,こちらも素晴らしかった.児太郎が鳴神・俊寛で好演したのも素敵.
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番外:独断的歌舞伎感想文 2019年1月国立劇場「通し狂言 姫路城音菊礎石」

日記:2019年1月某日
歌舞伎「通し狂言 姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ) 五幕九場」を見る.Kokuritu1901010
並木五瓶=作 『袖簿播州廻』より.尾上菊五郎=監修,国立劇場文芸研究会=補綴.出演:尾上菊五郎、中村時蔵、尾上松緑、尾上菊之助、坂東彦三郎、坂東亀蔵、中村梅枝、中村萬太郎、市村竹松、尾上右近、寺嶋和史、寺嶋眞秀、市村橘太郎、片岡亀蔵、河原崎権十郎、市村萬次郎、市川團蔵、坂東楽善 ほか.
播州桃井家のお家騒動を巡る物語.なかなかに筋書は複雑で面白い.Kokuritu1901011
音羽屋の芝居は花があるし,今回は何より寺嶋和史・寺嶋眞秀の子役2名が可愛く,人気をさらっていくところが素敵.
Kokuritu1901012
未だ台詞が入っていなかったり道具立てのタイミングが悪かったり,初日らしいところはあったが楽しい舞台だった.
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独断的映画感想文:シェイプ・オブ・ウォーター

日記:2018年12月某日
映画「シェイプ・オブ・ウォーター」を見る.1
2017年.監督:ギレルモ・デル・トロ.
出演:サリー・ホーキンス(イライザ),マイケル・シャノン(ストリックランド),リチャード・ジェンキンス(ジャイルズ),ダグ・ジョーンズ(不思議な生きもの),マイケル・スタールバーグ(ホフステトラー博士),オクタヴィア・スペンサー(ゼルダ),デヴィッド・ヒューレット(フレミング),ニック・サーシー(ホイト元帥).4
1960年代のアメリカ,幼い時に声帯を傷つけられ言葉を失ったイライザは,政府の研究所で夜勤の掃除婦として働いている.映画館の屋根裏のアパートに住む彼女の話し相手は,同じアパートに住む売れないゲイの挿絵画家・ジャイルズと,同僚の黒人女ゼルダのみ.5
或る日研究所に運び込まれた不思議な生きものは,アマゾンの原住民に神と崇められている半魚人だった.その魅力に惹かれてゆで卵を差し入れてから,イライザはたびたび「彼」と会い,手話でコミュニケーションを試みる様になる.
次第に「彼」に愛情を抱く様になるイライザ,しかし「彼」は担当のストリックランドにより生体解剖に付されることになる.研究所に潜り込んだロシアのスパイとも交錯する中,イライザは独自に「彼」を救出しようと奔走するが….
黒い童話「パンズ・ラビリンス」の印象が未だに鮮やかなこの監督の,同じ色調の映画.
3
冷戦下の軍の意向を受け,残忍に「彼」を管理するストリックランドに対し,イライザをはじめ黒人女性,ゲイの画家,落ちこぼれロシアスパイ等が「彼」の救出に連携する展開は,なかなかスリリング.一方,類型的なロシアスパイの活動描写でのユーモアや,タイミング良く流されるこの時代のアメリカンポップスが心地よい.
そして何より,イライザと「彼」の純粋な交流が素晴らしい.ラストシーンでイライザと共に去って行く「彼」には,涙を禁じ得なかった.
2
俳優ではサリー・ホーキンス,オクタヴィア・スペンサーが共に素晴らしく,またマイケル・シャノンも熱演.映画らしい描写に満ちた監督の演出も味わい深い.
★★★★☆(★5個が満点)
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