独断的映画感想文:ヴィクトリア女王 最期の秘密
日記:2019年1月某日
Bunkamuraル・シネマ1で映画「ヴィクトリア女王 最期の秘密」を見る.
2017年.監督:スティーヴン・フリアーズ.
出演:ジュディ・デンチ(ヴィクトリア女王),アリ・ファザール(アブドゥル・カリム),エディ・イザード(バーティー),アディール・アクタル(モハメド),ティム・ピゴット=スミス(ヘンリー・ポンソンビー),マイケル・ガンボン(ソールズベリー).
1887年,英領インドのアグラに住むアブドゥルは,献上品の絨毯の目利きを認められ,ヴィクトリア女王即位50周年記念式典で記念金貨“モハール”を献上する役目に抜擢される.
はるばるロンドンに派遣されたアブドゥルは式典で女王の目に止まり,式典期間の間女王の従僕に採用される.
臆することなく親しみを込めてインドの風物などを語りかけるアブドゥルに,女王も心を開き,親しい人達を失った後の苦しい心中を打ち明けるまでになる.一方,有色人種であるアブドゥルへの寵愛に対し,皇太子アルバート(バーティー)以下王室職員の多くは激しい敵意を抱くが….
大英帝国及びインドの絶対的君主である一方,一人の寂しい女性として希有な存在でもあるヴィクトリア女王を,ジュディ・ディンチが圧倒的な存在感で演じる.フィレンツェで,プッチーニの前でギルバートとサリバンの歌曲を歌ってみせる(伴奏は皇太子バーティー)シーンは圧巻.
映画の終盤,アブドゥルにナイトの称号を授けようとして周囲の猛反発を受けた時の,皇太子・首相に対し,また王室職員一同に対し,女王が示した君主としての威厳も印象的だ.
このアブドゥルとの交流が,女王の晩年にとってかけがえのないものだったことは想像に難くない.英国女王の意外な一面という以上に,インド青年との心を開いた交流が感銘的な映画.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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