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2019/03/24

独断的映画感想文:運び屋

日記:2019年3月某日
TOHOシネマズ新宿で映画「運び屋」を見る.6
2018年.監督:クリント・イーストウッド.出演:クリント・イーストウッド(アール・ストーン),ブラッドリー・クーパー(コリン・ベイツ),ローレンス・フィッシュバーン(DEAエージェント),マイケル・ペーニャ(トレヴィノ),ダイアン・ウィースト(メアリー),タイッサ・ファーミガ(ジニー),アリソン・イーストウッド(アイリス),アンディ・ガルシア(レイトン).
アールは退役軍人,ユリの栽培に没頭し品評会でも賞を取るが家族は顧みず,妻メアリーとは離婚し結婚式をすっぽかした娘アイリスは12年間口をきいてくれない.2_3
ところがインターネット販売に押され彼のユリ園は破産,アールは孫ジニーの婚約式で出会った若者に誘われ,荷物の運搬を引き受ける.当初はその中身を知らなかったが,ドラッグと知っても臆さず運び続けるアール.ジニーの結婚式の2次会費用をプレゼントしたり,焼失した退役軍人会館の厨房の再建費用を負担したりする.
交通違反の履歴一つなく高齢の退役軍人であるアールは,ノーマークで大量のドラッグを陸送し続けるが,やがて麻薬取締局DEAのベイツ捜査官の手が迫ってくる….
アールという人物が元気で茶目っ気たっぷり,言いたいことを言い度胸もあるというその魅力がまず楽しい.親分のレイトンは,アールが好き勝手に道を変えたり寄り道したりすることを,却って足が付かないから良いと支持するが,現場の見張り役は気が気ではない.その見張り役も,アールの車につけた盗聴器を通じて流れてくるラジオ音楽とそれに合わせて鼻歌を歌うアールの機嫌良さに,思わず一緒に歌い出すというシーンが可笑しい.3_2
アールの最大の関心事は,DEAの追及でもなければ組織の締め付けでもなく,家族の絆の再構築にある.アールがベイツ捜査官と朝の珈琲を飲みながら話すシーン(ベイツはアールが目指すホシだとはまだ気付いていない),ベイツが家族の記念日を失念していたらしいのを知ったアールが,「家族が何よりも大切だ,自分はそれに失敗した」と説教する場面は印象的.メアリーとアールの和解のシーンも感銘的だ.4_1
ドラッグが犯罪という概念をある種飛び越えたところで,アールの人生・家族との絆のドラマが展開することが面白い.イーストウッド映画らしく音楽も相変わらず良い.エンドロールで流れる「年を忘れよう」という内容の唄も魅力的.とにかくイーストウッドを見るのが楽しい,見て損はなし.1_4
★★★★☆.
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