独断的映画感想文:ラ・ラ・ランド
日記:2019年4月某日
映画「ラ・ラ・ランド」を見る.
2016年.監督:デイミアン・チャゼル.
出演:ライアン・ゴズリング(セバスチャン(セブ)),エマ・ストーン(ミア),ジョン・レジェンド(キース),ローズマリー・デウィット(ローラ),ソノヤ・ミズノ(ケイトリン),J・K・シモンズ(ビル),フィン・ウィットロック(グレッグ).
女優を目指すミアは,毎日オーディションを受けながらなかなか芽が出ない.或る日ピアノの音に惹かれて訪れた酒場で出会ったセブ,彼は自分の思い通りのジャズを客に聴かせる店を作る為,悪戦苦闘していた.
やがて恋に落ちた二人,ミアは一人芝居の自作自演に挑み,一方セブは不本意ながら商業主義的バンドのキーボードとして売れ始める.それぞれに挫折と将来への不安を抱く二人だったが….
この映画は冒頭の,渋滞するハイウェイで見渡す限りの車のボンネット上で踊り狂う人々の,群舞のシーンにまず圧倒される.その後も狂騒的な群舞シーンが繰り返され,自分などはすっかり嫌気が差してくる頃に,ミアとセブの出会いと恋の物語がようやく始まるのだ.
ところが一旦ミアとセブの物語になると,映画はすっかり落ち着いて,歌はバラードになり,これにセブの美しいピアノ,ジャズコンボの演奏が寄り添っていく.この後は安心してドラマを楽しむことが出来る.しかもそのドラマはハッピーエンドではないほろ苦い人生のドラマだ.どうして感動しないでいられよう.
楽曲としてはミアの歌う「オーディション」,ミアとセブが繰り返し歌う「シティ・オブ・スター」が素晴らしい.主演の二人は魅力充分,監督の前作「セッション」でジャズマンとしての圧倒的存在感を見せつけたJ・K・シモンズが,セブのジャズを否定する店主の役で顔を出すのはご愛敬.
最後に出会った二人が,もしこうであったら別な人生が開けていただろうかという一瞬の夢を見るエピローグが,切なくて哀しい.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
人気ブログランキングへ
コメント