独断的映画感想文:天国でまた会おう
渋谷ユーロスペースで映画「天国でまた会おう」を見る. 2017年.監督:アルベール・デュポンテル.原作:ピエール・ルメートル.
出演:ナウエル・ペレス・ビスカヤール(エドゥアール・ペリクール),アルベール・デュポンテル(アルベール・マイヤール),ロラン・ラフィット(プラデル),ニエル・アレストリュプ(マルセル・ペリクール),メラニー・ティエリー(ポリーヌ),エロイーズ・バルステ(ルイーズ),ジル・ガストン=ドレフュス(市長),フィリップ・ウシャン(区長),アンドレ・マルコン(憲兵),ミシェル・ヴュイエルモーズ(ジョゼフ・メルラン),キヤン・コジャンディ(デュプレ). 1920年モロッコのフランス軍憲兵隊.逮捕されたアルベールの長い陳述が始まる.
1918年第1次大戦の西部戦線,休戦の指示を握りつぶしたプラデル中尉は部下に突撃を命令,アルベールはプラデルの悪事の証拠を目撃したため砲弾の穴に突き落とされ生き埋めになる.年若い戦友のエドゥアールに命を救われるが,エドゥアールは顔に重傷を負う.
野戦病院で意識を取り戻したエドゥアールは自身の顔の損傷を知り,また厳格な父に自分の画才を認められず確執があったため,自分は戦死したことにしてくれるようアルベールに懇願する.アルベールは書類をすり替え,エドゥアールは別人として生きることになる. 二人はパリに戻ったが世間は復員者に冷たく,アルベールは経理係の仕事に復職できずサンドイッチマンとして糊口をしのぐ.エドゥアールは自らデザインした仮面をかぶることで自信を取り戻し,戦死者記念塔設立のデザインを請け負い,制作はしないで逃げるという詐欺で,国家に仕返しすることを考える.一方政界の実力者でもあるエドゥアールの父は,息子の死を悼み自分の街に戦死者記念塔を設立しようとするが,その娘婿にプラデル中尉が潜り込んでいた….
日本でも人気の推理小説作家ルメートル原作の映画,なかなか複雑なプロットだがテンポ良く映画は進む.
二人の戦争への思い,エドゥアールの父との確執,アルベールのプラデルへの復讐がもつれ合って進行するが,エドゥアールのバラエティ豊かな仮面の着用や,只一人エドゥアールの発する音声を言語に通訳できる少女ルイーズの登場など,物語は豊かな展開を見せる. 敵役のプラデルが詐欺師としての二人を次第に追い詰めていく過程や,終盤の悲劇的な経過は見応えあり.最後のどんでん返しは,ルメートルならではと思わせる.見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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