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2019年5月に作成された記事

2019/05/25

独断的映画感想文:のみとり侍

日記:2019年5月某日
映画「のみとり侍」を見る.1_17
2018年.監督:鶴橋康夫.
出演:阿部寛(小林寛之進),寺島しのぶ(おみね/千鶴),豊川悦司(清兵衛),斎藤工(佐伯友之介),前田敦子(おちえ),風間杜夫(甚兵衛),大竹しのぶ(お鈴),松重豊(牧野備前守忠精),桂文枝(田沼意次).2_16
徳川家治の治世,田沼意次が老中を務めた時代.長岡藩の勘定方吟味役・寛之進は,和歌の会で藩主・牧野備前守忠精の作が良寛の和歌とそっくりと指摘したため逆鱗に触れ,禄を失いのみとり侍に左遷されてしまう.
止むなく猫の蚤とりの親方・甚兵衛のもとに転げ込むが,曰くありげな寛之進を仇討ちのため身をやつす浪人と勝手に勘違いした甚兵衛夫妻は,のみとりの初歩から手ほどきし長屋の世話もしてくれる.3_14
のみとりの実態は女性に買われる“添寝業”だった.初日に声をかけてきた女性おみねは,亡妻・千鶴に瓜二つの囲われもの,しかしおみねに「下手くそ」と罵倒された寛之進はすっかり自信を失ってしまう.4_14
一方街で寛之進に助けられた清兵衛は,恐妻家の浮気者.清兵衛が浮気の手助けを頼んできたのに対し,寛之進は愛の手管を教えてもらおうとするが….
何とも奇妙な設定の時代劇コメディ.実力派の俳優達が真面目に取り組んでいる前半は見応えあり.清兵衛と愛人や寛之進とおみねの濡れ場も,おおらかで美しい.まあ寛之進がこの稼業に真面目に取り組んで,成果を出してしまう辺りがおかしいし,寛之進を買う山村紅葉のシーン等面白い場面もあった.5_11
ただ,終盤に向けて大団円に雪崩れ込んでいく筋書は,何とも御都合主義の平凡な展開で,いささかがっかり.後半はやや腰砕けの感がありました.
★★★(★5個が満点)
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2019/05/21

独断的映画感想文:パターソン

日記:2019年5月某日
映画「パターソン」を見る.1_16
2016年.監督:ジム・ジャームッシュ.
出演:アダム・ドライヴァー(パターソン),ゴルシフテ・ファラハニ(ローラ),バリー・シャバカ・ヘンリー (ドク),クリフ・スミス(メソッド・マン),チェイセン・ハーモン(マリー),ウィリアム・ジャクソン・ハーパー(エヴェレット),永瀬正敏(日本の詩人),ネリ(マーヴィン).2_15
ニュージャージー州パターソン市に住む市と同名のパターソンは,市バスの運転手.小さな家に恋人ローラと愛犬マーヴィンと暮らしている.
目覚ましが無くても6時過ぎには起きるパターソン,ローラはその朝見た夢を呟いてまた寝てしまう.パターソンは一人でシリアルの朝食を食べ,ローラの作っておいた弁当を持って出勤し,一日中バスを運転する.今朝はローラが双子を授かった夢を見たと言ったので,街は双子だらけの様に見える.仕事が終わって帰宅後は,マーヴィンを連れて散歩に出るが,途中でマーヴィンを待たせ,バーでビールを飲むのが日課.3_13
一方ローラは白と黒を基調としたアートで家中を飾る.ローラの夢は白と黒に塗ったギターを持って歌手デビューすることだ.一方パターソンは秘密のノートに毎日できた詩を書き付けている.ローラは詩のコピーを取り,詩人としてデビューする様説得するのだが….5_10
映画は特にドラマチックなことが起きる訳でもなく,控えめなユーモアと日常的な事件の積み重ねで進行する.主人公ら3人に加え,バーの常連の双子サムとデイブや,バーを仕切っているが奥さんには全く頭の上がらないドク,バーでしょっちゅう別れ話で喧嘩しているマリーとエヴェレット等,登場人物が面白い.
詩人パターソンが書き付ける詩もなかなかに素敵.
特筆すべきはブルドッグのマーヴィンを演じたネリで,達者な演技で2016年のカンヌ映画祭パルムドッグ賞を受賞した.惜しくも彼女は同年癌で死去し,映画は彼女に捧げられている.4_13
映画はパターソンの日常を描写していくが,パターソンの詩の朗読によって,描かれる街が様々な断面を示していく点が,この映画の面白さ.映画らしい映画である.
★★★☆(★5個が満点).
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2019/05/18

独断的映画感想文:女神の見えざる手

日記:2019年5月某日
映画「女神の見えざる手」を見る.1_15
2016年.監督:ジョン・マッデン.
出演:ジェシカ・チャステイン(エリザベス・スローン),マーク・ストロング(ロドルフォ・シュミット),ググ・ンバータ=ロー(エズメ・マヌチャリアン),アリソン・ピル(ジェーン・モロイ),マイケル・スタールバーグ(パット・コナーズ),ジェイク・レイシー(フォード),サム・ウォーターストン(ジョージ・デュポン),ジョン・リスゴー(スパーリング上院議員),デヴィッド・ウィルソン・バーンズ(ダニエル・ポスナー).5_9
大手ロビー会社「コール=クラヴィッツ&W」に働くスローンは,数々の実績を挙げてきた凄腕のロビイスト.ある日銃擁護団体から,新しい銃規制法案成立阻止の依頼を受ける.
ところがスローンはこれを拒否,自分の部下を率いて新興ロビー会社のシュミットのもとに移籍する.しかし彼女の右腕ジェーンだけは移籍に加わらなかった.
スローンは戦略的な活動を実施,劣勢だった銃規制派は急速に盛り返す.更にスローンはこれまで議論の圏外に居た女性票を狙い,女性ボランティア団体を組織して膨大な献金を確保すると共に,スタッフのエズメが銃による殺人の遺児であることを公にしてキャンペーンを張る.3_12
ところがエズメが暴漢の襲撃を受け,銃を正規に所持していた市民に暴漢が射殺されると,銃擁護団体は一気に反撃に出る.更に彼等はスローン個人を焦点に,スローンの過去のロビー活動の違法性を公聴会で審問する準備を整えた….4_12
法案成立か阻止かを巡るロビイスト達の,合法非合法織り交ぜた熾烈な闘いを描くポリティカルサスペンス.終盤,スローンの個人攻撃に焦点を絞った銃擁護派は,スローンの過去の活動の違法行為の証拠をジェーンの協力で押さえ,いよいよ公聴会の最終日となる.2_14
スローンの公聴会に衆目が集まり,銃規制法案の行方には既に誰も関心を持たない.この状況からスローンは如何に脱出し,更に巻き返しを図ることが可能か?このあとのスローンの捨て身の反撃がこの映画の醍醐味.
ポリティカルサスペンスとは言え,殆ど正統派ミステリーに近いどんでん返しである.映像も青に偏った色調で緊張感ある画面を維持し,まことに魅力的.出演者の早口の情報のやり取りについていくのは大変だが,見応えある映画.
★★★★(★5個が満点)
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2019/05/17

独断的映画感想文:ガルヴェストン

日記:2019年5月某日
新宿のシネマカリテで映画「ガルヴェストン」を見る.1_14
2018年.監督:メラニー・ロラン.
出演:ベン・フォスター(ロイ),エル・ファニング(ロッキー),ロバート・アラマヨ(トレイ),マリア・バルベルデ(カルメン),CK・マクファーランド(ナンシー),ボー・ブリッジス(スタン).5_8
故郷を捨て裏社会で生きてきたロイがその日,ボスの勧めで行った病院で見せられたのは,まるで雪が舞うように白くモヤがかかった自分の肺のレントゲン写真だった.命の終りが近いことを悟った彼は「どうせクソみたいな人生だ.死ぬならそれも仕方ない」そう自分に言い聞かせる.だが死への恐怖は彼を追い込み,苛立たせてゆく.
その夜いつものようにボスに命じられるまま向かった“仕事先”で,ロイは突然何者かに襲われる.組織に切り捨てられたことを知った彼は,とっさに相手を撃ち殺し,その場に囚われていた若い女を連れて逃亡する.彼女の名前はロッキー.家をとびだし,行くあてもなく身体を売って生活していたという.組織は確実に2人を追ってくるだろう.全てを失い孤独な平穏を願いながらも女を見捨てることのできないロイと,他に頼る者もなく孤独な未来を恐れるロッキー.傷だらけの2人の,果てなき逃避行が幕を開ける(公式サイトのストーリー).4_11
映画の冒頭は1988年ハリケーン下のニューオーリンズ.逃亡先に選んだのはそこから西へ600キロ程離れたガルヴェストン,ヒューストンの沖に浮かぶ島の街だ.
ところがロッキーはその手前のオレンジ郡で自宅に立ち寄る様ロイに依頼,継父を撃って幼い妹を連れ飛び出してくる.いずれも追われる身となった2人は,ガルヴェストンのモーテルでようやく落ち着いた日々を迎えるが….
希望と絶望,諦念に彩られた2人の僅かなやすらぎの日々.観客はしかしこの物語の結末がどうなるか,息を呑んで見守っている.
悲劇的な展開は予想通り,しかし2つのどんでん返しが映画の最後に控えていた.20年後再びハリケーンに見舞われるニューオーリンズ,哀切だが癒されるエピローグが印象に残る.6_5
主演二人が素晴らしい.ベン・フォスターはいかにもやくざな暮らしをしてきた男らしく,しかし死を前に悪ぶらないロイを好演.エル・ファニングは希望と絶望に翻弄される若いロッキーを,透明感ある美貌で演じる.モーテルの女主人のCK・マクファーランドも素敵.
監督は「イングロリアス・バスターズ」,「オーケストラ!」のヒロインを演じたメラニー・ロラン.才女ですな.
★★★★(★5個が満点)

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2019/05/11

番外:独断的歌舞伎感想文 團菊祭5月大歌舞伎 夜の部 鶴寿千歳/絵本牛若丸/京鹿子娘道成寺/御所五郎蔵

日記:2019年5月某日
歌舞伎座で「團菊祭5月大歌舞伎 夜の部」を見る.Img_2895
岡鬼太郎 作.「一、鶴寿千歳(かくじゅせんざい)」.出演:雌鶴(時蔵),雄鶴(松緑).
村上元三 脚本,今井豊茂 補綴.「二、絵本牛若丸(えほんうしわかまる) 七代目尾上丑之助初舞台」.出演:牛若丸(初舞台丑之助),御厩鬼三太(菊之助),鬼一法眼(吉右衛門),吉岡鬼次郎(菊五郎),左團次,片岡亀蔵,時蔵,雀右衛門,松緑,海老蔵,菊五郎劇団出演.
「三、京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ) 道行より鐘入りまで」.出演:白拍子花子(菊之助).
河竹黙阿弥作.「四、曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ) 御所五郎蔵」.出演:御所五郎蔵(松也),傾城皐月(梅枝),傾城逢州(尾上右近),星影土右衛門(彦三郎).
鶴寿千歳は昭和天皇即位を祝った舞踊の再演.
絵本牛若丸は,菊五郎劇団の御曹司の襲名初舞台とあって,父親はもとより祖父2名もにこやかに出張って,微笑ましい舞台.丑之助は5歳ながら殺陣や六方をこなして将来が楽しみ.といってもこの子が成人したときはこちらは83,4だもんな.Img_2894
娘道成寺は菊之助が大曲を艶やかに美しく踊り,満喫した.所化が若手御曹司達で,こちらの品定めも面白い.
御所五郎蔵は,若手中心.五郎蔵の松也が役に合って共感できる.仁左衛門で以前見たときはそのあまりの格好良さに引き込まれたが,松也は悲愴美が前面に出て印象的だった.梅枝の皐月,右近の逢州も素敵.見応えある狂言であった.

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2019/05/05

番外:独断的歌舞伎感想文 團菊祭5月大歌舞伎 昼の部 寿曽我対面/勧進帳/め組の喧嘩

日記:2019年5月5日
「團菊祭5月大歌舞伎 昼の部」を見る.Kabukiza1905h_3eef5efbd78ed4c7e2b90f585b
「一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」.出演:工藤祐経(松緑),曽我十郎(梅枝),曽我五郎(萬太郎),大磯の虎(尾上右近),化粧坂少将(米吉),小林朝比奈(歌昇),鬼王新左衛門(坂東亀蔵).
「二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)」.出演:武蔵坊弁慶(海老蔵),源義経(菊之助),亀井六郎(右團次),片岡八郎(九團次),駿河次郎(廣松),常陸坊海尊(市蔵),富樫左衛門(松緑).竹柴其水 作.
「三、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ) め組の喧嘩:品川島崎楼より 神明末社裏まで」.出演:め組辰五郎(菊五郎),女房お仲(時蔵),尾花屋女房おくら(雀右衛門),柴井町藤松(菊之助),おもちゃの文次(彦三郎),御輿岳芳五郎(片岡亀蔵),宇田川町長次郎(権十郎),島崎楼女将おなみ(萬次郎),露月町亀右衛門(團蔵),九竜山浪右衛門(又五郎),焚出し喜三郎(歌六),江戸座喜太郎(楽善),四ツ車大八(左團次).
寿曽我対面は若々しい配役で,梅枝・萬太郎の萬屋兄弟が十郎・五郎.右近・米吉の女形も美しい.
勧進帳は海老蔵・菊之助の弁慶・義経で幕見は立ち見が出る人気,松緑の富樫も良かった.
め組の喧嘩は自分の苦手な演目である.そもそも当の喧嘩が,仕返しをしなけりゃ男が廃るという程の事情は全く見当たらない.それを組中でいきり立って女房・息子までが煽り立て,私事の喧嘩に鳶口や果ては纏まで持ち出し,挙げ句に半鐘まで鳴らす.沙汰の限りである.要するに作者も観客も喧嘩が死ぬ程好きだったというだけのこと.しかしいざ喧嘩ということになって,皆で水杯を交わし押し出すとなると,つい舞台に引き込まれてしまう.右近・左近が生きの良い演技を見せて印象的.亀三郎の子役が達者で感心した.

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2019/05/04

独断的映画感想文:ふきげんな過去

日記:2019年5月某日
映画「ふきげんな過去」を見る.2_12
2016年.監督:前田司郎.
出演:小泉今日子(未来子),二階堂ふみ(果子),高良健吾(康則),山田望叶(カナ),兵藤公美(サトエ),梅沢昌代(サチ),板尾創路(タイチ).
果子は不機嫌な日常を過ごす高校生.今日も「海苔の本田屋の嫁」が子供をワニに喰われたと主張する運河を眺め暮らす.母サトエは年の離れた新生児の妹を育てているが,未だ名前すらつけていない.父は右手の指2本が欠損していて,無為な生活を過ごしている.1_13
一家は「エジプト風マメ料理」の飲み屋を営んでいる.ところがそこへ18年前に死んだ筈の伯母・未来子が突然姿を現す.爆弾作りに精を出し,爆破事件を起こして姿をくらました伯母は既に死んだ筈で戸籍もない.父の指も爆弾で失ったものらしい.
未来子はその日から果子の部屋に同居して暮らし始め,果子の苛々は頂点に達するが,未来子はある晩,爆弾に必要な硝石を取りに行こうと果子を誘う….3_10
退屈な現在に苛立つ果子に訪れた,突然の新しい未来が巻き起こす一夏の出来事.この一家のマメの皮を剥きながらの会話がとにかく違和感だらけで,そこに苛々で弾けそうな果子が加わる画面が基本的に面白い.
死んだ筈でしかもなお爆弾作りを続ける(殆ど楽しんでいると言って良い)未来子の登場で,映画は更に突き抜ける(こういうシチュエーションの小泉今日子ははまり役である).未来子,果子,カナ(果子の従姉妹)が,硝石取りに夜の運河を漕ぎ下っていくシーンはなかなか美しい.
映画の最後,「海苔の本田屋の嫁」が子供をワニに喰われた件の思いがけない展開が秀逸,そのシーンの果子の表情が印象的だ.未来の上から目線と過去の不機嫌が映画のテーマらしいが,面白い映画.
★★★☆(★5個が満点)4_10

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2019/05/02

独断的映画感想文:しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

日記:2019年5月某日
映画「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」を見る.1_11 2016年.監督:アシュリング・ウォルシュ.
出演:サリー・ホーキンス(モード・ルイス),イーサン・ホーク(エベレット・ルイス),カリ・マチェット(サンドラ),ガブリエル・ローズ(アイダ).3_8 実在のカナダ東部ノバスコシア州の画家:モード・ルイスの生涯を描く.
モードは若年性リューマチを患い若くして両親を亡くす.叔母のもとに身を寄せていたが,束縛が厳しく厄介者扱いするアイダ叔母さんからの独立を願っていた. たまたま或る日住み込み家政婦募集の掲示を見たモードは,雇い主エベレットのもとで働くことを決意する.
エベレットは孤児院育ちで学問もなく,町外れの小さな家に住む乱暴者.まるでタイプの違う二人はことある毎に衝突するが,やがて落ち着いてくると,モードは僅かな給金で絵の具を買い家に絵を書き始める.また,魚の卸をするエベレットの為に伝票を記録し始めるが,その伝票カードの裏にも絵を書く.2_10 やがてその絵は近隣の評判を呼び,その絵を金を出して買いたいというお客が現れ始めた….
身体が弱くリュウマチのため手足の動きが不自由なモードは,しかし自由を愛する聡明な女性.女性に支配的であろうとするが,実は善良で絵を好みモードを心から愛する様になるエベレット.両者を演じるサリー・ホーキンスとイーサン・ホークが素晴らしい.6_3 遂に二人が結婚式を挙げたとき,恥ずかしそうに微笑むモードと,居心地悪そうにしているが二人きりになるとモードを抱きしめるエベレットのこのシーンは忘れがたい.特にサリー・ホーキンスの極めて丁寧なモードの演じ方は感銘的.8 身体が不自由なモードと口下手なエベレット,しかし彼等の魂の深さは誰よりも優っていただろうと思われる.そのことを表現し得た映画,ギターを主としたマイケル・ティミンズの音楽も素晴らしい.一見の価値あり.

★★★★(★5個が満点).

7

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