番外:独断的歌舞伎感想文 團菊祭5月大歌舞伎 昼の部 寿曽我対面/勧進帳/め組の喧嘩
日記:2019年5月5日
「團菊祭5月大歌舞伎 昼の部」を見る.
「一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」.出演:工藤祐経(松緑),曽我十郎(梅枝),曽我五郎(萬太郎),大磯の虎(尾上右近),化粧坂少将(米吉),小林朝比奈(歌昇),鬼王新左衛門(坂東亀蔵).
「二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)」.出演:武蔵坊弁慶(海老蔵),源義経(菊之助),亀井六郎(右團次),片岡八郎(九團次),駿河次郎(廣松),常陸坊海尊(市蔵),富樫左衛門(松緑).竹柴其水 作.
「三、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ) め組の喧嘩:品川島崎楼より 神明末社裏まで」.出演:め組辰五郎(菊五郎),女房お仲(時蔵),尾花屋女房おくら(雀右衛門),柴井町藤松(菊之助),おもちゃの文次(彦三郎),御輿岳芳五郎(片岡亀蔵),宇田川町長次郎(権十郎),島崎楼女将おなみ(萬次郎),露月町亀右衛門(團蔵),九竜山浪右衛門(又五郎),焚出し喜三郎(歌六),江戸座喜太郎(楽善),四ツ車大八(左團次).
寿曽我対面は若々しい配役で,梅枝・萬太郎の萬屋兄弟が十郎・五郎.右近・米吉の女形も美しい.
勧進帳は海老蔵・菊之助の弁慶・義経で幕見は立ち見が出る人気,松緑の富樫も良かった.
め組の喧嘩は自分の苦手な演目である.そもそも当の喧嘩が,仕返しをしなけりゃ男が廃るという程の事情は全く見当たらない.それを組中でいきり立って女房・息子までが煽り立て,私事の喧嘩に鳶口や果ては纏まで持ち出し,挙げ句に半鐘まで鳴らす.沙汰の限りである.要するに作者も観客も喧嘩が死ぬ程好きだったというだけのこと.しかしいざ喧嘩ということになって,皆で水杯を交わし押し出すとなると,つい舞台に引き込まれてしまう.右近・左近が生きの良い演技を見せて印象的.亀三郎の子役が達者で感心した.
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