独断的映画感想文:しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス
日記:2019年5月某日
映画「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」を見る. 2016年.監督:アシュリング・ウォルシュ.
出演:サリー・ホーキンス(モード・ルイス),イーサン・ホーク(エベレット・ルイス),カリ・マチェット(サンドラ),ガブリエル・ローズ(アイダ). 実在のカナダ東部ノバスコシア州の画家:モード・ルイスの生涯を描く.
モードは若年性リューマチを患い若くして両親を亡くす.叔母のもとに身を寄せていたが,束縛が厳しく厄介者扱いするアイダ叔母さんからの独立を願っていた. たまたま或る日住み込み家政婦募集の掲示を見たモードは,雇い主エベレットのもとで働くことを決意する.
エベレットは孤児院育ちで学問もなく,町外れの小さな家に住む乱暴者.まるでタイプの違う二人はことある毎に衝突するが,やがて落ち着いてくると,モードは僅かな給金で絵の具を買い家に絵を書き始める.また,魚の卸をするエベレットの為に伝票を記録し始めるが,その伝票カードの裏にも絵を書く. やがてその絵は近隣の評判を呼び,その絵を金を出して買いたいというお客が現れ始めた….
身体が弱くリュウマチのため手足の動きが不自由なモードは,しかし自由を愛する聡明な女性.女性に支配的であろうとするが,実は善良で絵を好みモードを心から愛する様になるエベレット.両者を演じるサリー・ホーキンスとイーサン・ホークが素晴らしい. 遂に二人が結婚式を挙げたとき,恥ずかしそうに微笑むモードと,居心地悪そうにしているが二人きりになるとモードを抱きしめるエベレットのこのシーンは忘れがたい.特にサリー・ホーキンスの極めて丁寧なモードの演じ方は感銘的.
身体が不自由なモードと口下手なエベレット,しかし彼等の魂の深さは誰よりも優っていただろうと思われる.そのことを表現し得た映画,ギターを主としたマイケル・ティミンズの音楽も素晴らしい.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点).
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