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2019/06/04

独断的映画感想文:主戦場

日記:2019年6月某日
渋谷のシアター・イメージフォーラムで映画「主戦場」を見る.1_18

2018年.監督・製作・脚本・撮影・編集・ナレーション:ミキ・デザキ.製作:モモコ・ハタ.音楽:マサタカ・オダカ.
ユーチューバー出身の監督が,日韓のみならずアメリカをも巻き込んで進む慰安婦問題の論争を描く,長編ドキュメンタリー.登場人物は日本の右派・左派(こういう言い方は好きではないが,この映画の扱いに沿って便宜的にこう呼ぶ)の各論客・運動家・元日本軍兵士,韓国の元慰安婦の娘・支援者・学者,アメリカの元慰安婦支援者・その反対派等々.
こういう人々へのインタビューと街頭インタビューやニュース映像,新聞や公文書のコピーが軽快なテンポで次々に画面に映し出される.映画は監督が当初抱いた疑問に沿って,元在特会の山本優美子氏のインタビューからスタート,その主張の展開や反対派側からの反論という具合に,次はそこが知りたいというポイントが小気味良く映像として現れる.
監督は最終的にはこの問題が,安倍政権とその背後にある日本会議に関わることを示唆して映画を終え,自身の懸念するところを明らかにする.そういう意味ではこの映画は「公平な立場」という立ち位置にないことはあきらかだ.3_15

この映画については,5月30日に右派論客7名(櫻井よしこ氏,ケント・ギルバート氏,トニー・マラーノ氏,加瀬英明氏,山本優美子氏,藤岡信勝氏,藤木俊一氏)が抗議声明を出すといった「場外乱闘」の状況が発生しているが,右派論客の主張のみが揶揄されたり切り取りされたりといった印象は基本的にない.4_15
慰安婦問題は重大な問題であると同時に,極めて政治的であり,感情を伴うものであり,倫理と差別とに関わる問題である.そのことはこの映画のインタビューを通じ自ずから明らかになる.この映画の魅力は,そういう力を持ったドキュメントであることに尽きるであろう.単調だが力強い音楽も素晴らしい.ドキュメント映画として充分な見応えあり. 
★★★★(★5個が満点).
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