独断的映画感想文:新聞記者
日記:2019年7月某日
UPLINK吉祥寺で映画「新聞記者」を見る.
2019年.監督:藤井道人.製作:河村光庸.
出演:シム・ウンギョン(吉岡エリカ),松坂桃李(杉原拓海),本田翼(杉原奈津実),岡山天音(倉持大輔),郭智博(関戸保),長田成哉(河合真人),宮野陽名(神崎千佳),高橋努(都築亮一),西田尚美(神崎伸子),高橋和也(神崎俊尚),北村有起哉(陣野和正),田中哲司(多田智也).
韓国人の母と日本人の父の間に生まれ,アメリカで育った東都新聞記者:吉岡エリカ.父も新聞記者だったが,誤報の責任を取って自殺したとされている.
新聞社に送られてきた匿名の資料は,特区制度を利用して内閣府主導で医療大学を作るという計画.エリカはキャップの陣野の指示で取材を開始する.
一方内閣調査室に勤める杉原拓海は,外務省出身.上司・神崎は公文書改竄の責任を負って左遷,部下の杉原も内調に異動となった.日々の仕事は,政府に都合の悪い案件へのフェイク情報の素材を作製したり,それをSNS上に流したりする汚れ仕事.
杉原が久しぶりに神崎の誘いで会食した直後,神崎は自殺する.神崎が匿名資料の送り主ではないかとみていたエリカは,葬儀の会場で杉原と出会うが….
東京新聞の望月記者の著作を原案とした映画,原著作は未読.
キャッチには「内閣官房VS女性記者」「官邸とメディアの裏側を描く」などとあるが,実際には政権の動きは描かれず,その意を酌んだ内調と新聞記者の闘いが主題である.
資料の送り主が誰かという謎解きや,杉原の協力を得て最新資料を取得する場面のサスペンス,自身のキャリアや家族という弱点を突かれ個々に潰されていく官僚の悲哀等は,それなりに見応えあり.
主演の二人は好演,脇を固めた北村有起哉,田中哲司等も良い.エンディングテーマのの「Where have you gone」も美しかった.
しかし政権への批判的切り口としては,内調レベルの物語ではいささか物足りない.むしろ半世紀程昔の事件でも良いから,(アメリカで)公開された資料に基づき実名を挙げた政治ドラマをしっかり製作した方が,面白いのではないか.
★★★☆(★5個が満点)
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