独断的映画感想文:ロケットマン
日記:2019年8月某日
TOHOシネマズ新宿へ.映画「ロケットマン」を見る. 2019年.監督:デクスター・フレッチャー.
出演:タロン・エガートン(エルトン・ジョン),ジェイミー・ベル(バーニー・トーピン),ブライス・ダラス・ハワード(シーラ・フェアブラザー),リチャード・マッデン(ジョン・リード). 本人が製作総指揮を執るエルトン・ジョンの自伝的物語.ミュージカル仕立てだが,楽曲は殆どがエルトン・ジョンのヒット曲で歌うのはエルトン・ジョンである.
映画の冒頭,奇抜な衣装のまま依存症の会合に参加するエルトン・ジョン,自身の薬物・アルコールへの依存を明かし,愛に恵まれなかった少年時代を語り始める. 父と母は不仲で,両者ともその不満を息子にぶつけていた.祖母アイヴィはエルトンの音楽の才能に気付き,ピアノの教育を受けさせる.エルトンは国立音楽院の奨学金を受け入学,やがてロックに傾倒しバンド活動を開始,レコード会社の公募に応募して作詞家バーニー・トーピンと巡り会う.
作品が会社に認められ,アルバムリリースが決定,二人はアメリカデビューのため,ハリウッドのライブハウス:トルバドールに行く.ここでのライブ成功で人気が爆発したエルトン・ジョン,のちにマネジャーになるジョン・リードとも恋に落ちるが….
世界的なスターになりチケット完売のツアーを続けるエルトン・ジョン,しかし愛に満たされずジョン・リードには冷たくあしらわれ,薬と酒に身を滅ぼしていく.遂には依存症更生施設へ入所し,自身と他人との関係を見直す経過を辿る.後半はエルトン・ジョンの自身の解体・再生の物語だろう. 音楽映画として魅力的な場面に満ちあふれた映画.自宅のピアノで,バーニーの詞を見ながら「Your Song」を創り出して行く瞬間のスリリングなシーン,トルバドールで「Crocodile Rock」のパフォーマンスが成功する爆発的な歓喜のシーン….これらのシーンは観客を映画に引き込んで離さないだろう.
中盤の両親それぞれとの葛藤や,幼かった自分との和解のシーンには胸を打たれる.終盤バーニーと再び曲作りを始めようとするシーンも素晴らしい. 主演のタロン・エガートンは,演技も歌も文句なし.母親役のブライス・ダラス・ハワードは,つい先日見た「ジュラシック・ワールド/炎の王国」のクレア役だったとは信じられない面変わり,達者なものです.
元来僕はミュージカルは嫌いなのだが,この映画の魅力には抗し難い.★★★★(★5個が満点)
蛇足:愛人だったジョン・リードは,「ボヘミアン・ラプソディ」でクィーンのマネジャーとしても登場した敏腕マネジャー.この映画ではかなり悪役に描かれているが(実際エルトン・ジョンから横領の疑いで解雇され,数億円を返済して和解),本人はオーストラリアで健在とのこと.
★★★★(★5個が満点)
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