独断的映画感想文:ビル・エヴァンス タイム・リメンバード
日記:2019年8月某日
ユジク阿佐谷で映画「ビル・エヴァンス タイム・リメンバード」を見る. 2015年.監督:ブルース・スピーゲル.
出演:ポール・モチアン,ジャック・ディジョネット,ジョー・ラバーベラ,チャック・イスラエルズ,ゲイリー・ピーコック,マーク・ジョンソン,トニー・ベネット,ジム・ホール,ジョン・ヘンドリックス. モダンジャズに大きな足跡を残したピアニスト:ビル・エヴァンスの評伝ドキュメンタリー.
生い立ちからジャズとの関わり,大きな影響を受けたマイルス・デイビスグループへの参加,ジャズを変えた最初のスコット・ラファロ,ポール・モチアンとのトリオ,そのベーシスト:スコット・ラファロの突然の事故死….これらの経過を,ビル・エヴァンスの美しいジャズをバックに,きら星の様なジャス界の巨匠達が証言していく.
痛ましいのは,そのキャリアのごく初期からビル・エヴァンスがドラッグに蝕まれていたことだ.
彼の女性遍歴も詳しく描かれる.その中で,彼が新しい恋人との子どもが欲しかったために別れた愛人エレンの自殺は,最愛の兄ハリーの自殺と共に,哀切極まりない.ビル・エヴァンスや関連のジャズメン達の美しい音楽を重ねながら,彼の様々な人生の格闘を語る本編は,まことに見応えあり.なお,出演者の中でポール・モチアンとジム・ホールは,この映画の製作中に死去した.
雑感1:インター・プレイという素晴らしい演奏スタイルを生み出したが故に,その緊張に晒されたビル・エヴァンスがドラッグに耽溺したのだとすれば,これほどの皮肉はない.
雑感2:スコット・ラファロ,チャック・イスラエル,エディ・ゴメス等の歴代ベーシストの映像を見ても,そのテクニックは凄まじい.ビル・エヴァンスと付き合ったベーシスト達の力量を,改めて思い知ることになった.
ジャズとビル・エヴァンスが好きな方は必見.★★★★(★5個が満点)
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