独断的映画感想文:馬を放つ
日記:2019年8月某日
映画「馬を放つ」を見る. 2017年.監督:アクタン・アリム・クバト.
出演: アクタン・アリム・クバト,ヌラリー・トゥルサンコジョフ,ザレマ・アサナリヴァ,タアライカン・アバゾバ. キルギスの田舎町に住むケンタウロスと呼ばれる男,聾唖の妻マリンパと口をきかない5歳の息子ヌルベルディと共に穏やかに暮らしている.男は元映写技師だったが町の映画館が潰れた後は日雇い仕事で暮らしているのだ.
ケンタウロスはキルギスの神の伝説を深く信奉しており,夜になると厩舎の馬を野に放つという行為をしばしば行っていた.高価な馬を盗まれた有力者のカラバイは,他の牧場主と語らって,罠を仕掛けて犯人を捕らえようとする….
「馬は人の翼だ」というキルギスの言い伝えが映画の冒頭に掲げられるが,そのキルギスの心情に生きるケンタウロスを描く寓話的映画. 伝統的な立場の村の長老達,新興の有力者達,強引な布教を進めるイスラム教の指導者,馬を食用に売買する業者等が物語に登場するが,ケンタウロスの妻子への愛情や純朴な思いが翻弄されていく様子が,印象的だ.
映画は悲劇的な結末を迎えるが,最後に起こる小さな奇跡が心に残る.映画らしい映画.
★★★☆(★5個が満点)
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