独断的映画感想文:ガーンジー島の読書会の秘密
日記:2019年9月某日
TOHO日比谷シャンテで「ガーンジー島の読書会の秘密」を見る. 2018年.監督:マイク・ニューウェル.
出演:リリー・ジェームズ(ジュリエット・アシュトン),ミキール・ハースマン(ドーシー・アダムズ),グレン・パウエル(マーク・レイノルズ),ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ(エリザベス・マッケンナ),キャサリン・パーキンソン(アイソラ・プリビー),マシュー・グード(シドニー・スターク),トム・コートネイ(エベ・ラムジー),ペネロープ・ウィルトン(アメリア・モーグリー). 1946年,大戦の傷跡も未だ癒えないロンドン.作家ジュリエットは或る日,英国王室属領・ガーンジー島で読書会をしているダーシーという男から手紙を受け取る.手紙は,ガーンジー島には本屋が無く,彼が手に入れた古本の見返しに住所・氏名をサインしていたジュリエットに,ロンドンの本屋の紹介を依頼してきたものだった.
興味を引かれたジュリエットはダーシーと文通を始める.ガーンジー島は大戦中ナチに占領され,島民は苦しい生活を強いられた.「ガーンジー読書とポテトピールパイの会」は貴重な憩いの場だったという.作品の方向性に悩んでいたジュリエットは,この読書会に取材して記事をタイムズに発表しようと考え,ガーンジー島に向かう.
ジュリエットは島のモーグリー宅で開かれた読書会に迎えられ,皆とうち解けるが,取材結果をタイムズに掲載したいという希望は,断固拒否される.またメンバーの内エリザベスという若い女性は不在で,ダーシーをパパと呼ぶモーグリー宅の少女キットは,エリザベスの子だとジュリエットは知ることになる. ジュリエットはエリザベス不在の理由を調べるため滞在を続け,島の新聞社のアーカイブを調べ島民に質問をする.その結果戦争末期にエリザベスはドイツ軍に逮捕され,大陸に連行されたと分かる.ジュリエットは婚約者で米軍将校のマークに,エリザベスの行方を調査依頼するが….
映画の舞台ガーンジー島はイギリス海峡サン・マロ湾にあり,フランス本土から50km足らずのところにある美しい島.また背景となる読書会は,本を朗読したり,感想を発表したり,それを巡る議論を交わしたりという会で,「ガーンジー読書とポテトピールパイの会」でも5名の年齢性別様々な参加者が熱い議論を交わす様子が描かれる. 物語はジュリエットの調査を通じ,大戦中の災厄と人々が味わった辛酸を一つまた一つと明らかにしてゆき,自らも大戦で両親を亡くしているジュリエットがそのことに心を動かされていく経過が印象的だ.俳優ではジュリエット役のリリー・ジェームズが美しく魅力的,またアメリア・モーグリー役のペネロープ・ウィルトンの演技が素晴らしい.
戦争の傷跡を描いたこの映画は,また一つの恋の物語でもある.舞台・背景含めて映画としての魅力充分,見応えあり.★★★★(★5個が満点).
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