番外 独断的歌舞伎感想文:通し狂言 孤高勇士嬢景清
日記:2019年11月某日
国立劇場で「通し狂言 孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ) 四幕五場.―日向嶋(ひゅうがじま)―」を見る.
西沢一風・田中千柳=作『大仏殿万代石楚』,若竹笛躬・黒蔵主・中邑阿契=作『嬢景清八嶋日記』より.国立劇場文芸研究会=補綴.国立劇場美術係=美術.序幕 鎌倉大倉御所の場,二幕目 南都東大寺大仏供養の場,三幕目 手越宿花菱屋の場,四幕目 日向嶋浜辺の場・日向灘海上の場.主な配役:悪七兵衛景清(中村吉右衛門),源頼朝/花菱屋長(中村歌六),肝煎左治太夫(中村又五郎),仁田四郎忠常(中村松江),三保谷四郎国時(中村歌昇),里人実ハ天野四郎(中村種之助),玉衣姫(中村米吉),里人実ハ土屋郡内(中村鷹之資),和田左衛門義盛(中村吉之丞),俊乗坊重源/花菱屋遣手おたつ(嵐橘三郎),梶原平三景時(大谷桂三),秩父庄司重忠(中村錦之助),景清娘糸滝(中村雀右衛門),花菱屋女房おくま(中村東蔵).
平家の侍大将・悪七兵衛景清は,平家滅亡後も頼朝の命を狙う.大仏落慶供養の東大寺に頼朝を狙い切り込むが,道理を説かれ断念,二度と復讐をしない誓いとして両目を自ら刺し貫く.
景清の娘・糸滝は,3歳の時別れた父が日向国に流されていると知り,花菱屋に遊女として身を売った金を携え父のもとを訪ねるが,景清はなお頼朝からの仕官の誘いを頑なに拒絶して,貧窮の暮らしを続けていた….
男性の意地が女性の無償の愛に覆るという点では,昨晩見たオグリと共通するところもある通し狂言.吉右衛門の熱演に何と言っても引き込まれる.
これに歌六,又五郎,錦之助,雀右衛門,東蔵等が過不足なく一座として好演し,味わいのある舞台.また若手の歌昇,種之助,鷹之資も動き良く好印象だった.
スーパー歌舞伎と対照すると如何にも地味な舞台だが,楽しかった.竹本の出来も素晴らしい.
人気ブログランキングへ
コメント