番外:独断的歌舞伎感想文:3月大歌舞伎昼の部 雛祭り/新薄雪物語
日記:2020年4月某日
3月大歌舞伎の公開映像を見る. 「一、雛祭り(ひなまつり)」.出演:女雛(福助),男雛(芝翫),五人囃子(歌昇),同(廣太郎),同(種之助),同(虎之介),同(吉之丞),官女(梅花),右大臣(彌十郎),左大臣(東蔵).通し狂言「二、新薄雪物語(しんうすゆきものがたり) 花見 詮議 広間 合腹」.出演:幸崎伊賀守(吉右衛門),葛城民部(梅玉),秋月大膳(歌六),腰元籬(扇雀),奴妻平(芝翫),薄雪姫(孝太郎),園部左衛門(幸四郎),茶道珍才(種之助),花山艶之丞(松之助),渋川藤馬(吉之丞),役僧雲念(橘三郎),清水寺住職(錦吾),来国行(家橘),刎川兵蔵(錦之助),団九郎(又五郎),松ヶ枝(雀右衛門),梅の方(魁春),園部兵衛(仁左衛門).
「雛祭り」は飾られた雛人形達が,桃の節句の夜に内裏雛が引っ込んだ後白酒を飲んで大騒ぎとなるという,群舞を交えた踊り.福助が左手一つの動きながら芝翫と踊り元気な笑顔を見せていた.官女では久しぶりに見た柴のぶちゃんが相変わらずきれいでうまい.
「花見」では孝太郎が世間知らずだが一途な薄雪姫を演じ素敵.芝翫の奴妻平が手馴れた所作で大立ち回りを捌くのもさすがだった.「詮議」では左衛門と薄雪姫の錯乱ぶりが良い(この二人は「年端もいかぬ」年齢同士ということになっている).吉右衛門と仁左衛門の息が合い,呼応してかわす台詞の応酬も味わい深い.
「広間」では兵衛が薄雪を落としてやる場面での仁左衛門の情愛溢れる芝居に泣かされた.「合腹」での吉右衛門は重厚な芝居といい左衛門を叱責する大音声の台詞といい,実に印象的.
仁左衛門が登場して,魁春と3人揃う幕切れの笑いは,全てを失った後の心の平安を感じさせて,感動的であった.吉右衛門仁左衛門共に,無観客という異常な状況ながら素晴らしい演技を映像に残してくれたことに,感謝するのみ.
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