独断的映画感想文:アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場
日記:2020年5月某日
映画「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」を見る.
2017年.フィンランド.
監督:アク・ロウヒミエス.出演:エーロ・アホ(ロッカ),ヨハンネス・ホロパイネン(カリルオト),アク・ヒルヴィニエミ(ヒエタネン),ユッシ・ヴァタネン(コスケラ),ハンネス・スオミネン(ヴァンハラ),アルットゥ・カプライネン(スシ).
1941年6月,ドイツの支援を受けたフィンランドは,2年前の「冬戦争」でソ連に一方的に侵略され奪われた領土の回復を目指し,ソ連領内に進攻する.物語はこの戦争に参加した一機関銃中隊を中心に進む.
中隊を指揮する大尉カリルオトは婚約者を残して出征,少尉コスケラは身を挺して中隊を最後まで指揮する.勇敢に戦車を撃破したヒエタネンは,占領地のロシア人の子供達にも優しい.補充で参戦したロッカは冬戦争を戦ったベテラン,身重の妻と3人の子どもを残して出征した.
50万の兵力(この時のフィンランドの全人口は400万人)を動員した闘いは当初優位に進展したが,1944年になると圧倒的な兵力のソ連軍の反攻に,中隊の兵士は次々に倒れていく….
フィンランドの国運をかけた戦争と,兵士達の過酷な闘いを描く重厚な映画.既に共感を持って見ている兵士達が次々に倒されていく終盤は,まことに見るのが辛い.
休戦が成立し,ソ連の過酷な講和条件を受け入れなければならないとの政府声明が出される中,バックに流れるフィンランディアのメロディが心を打つ.
この戦争はフィンランドとしては領土回復の正義の戦争であるが,それでも戦争はむごく,無能な指導者の下では更に兵士の犠牲が増大する.感動とため息が残る映画.
★★★★(★5個が満点).
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