独断的映画感想文:タレンタイム 優しい歌
日記:2020年5月某日
仮設の映画館・ユジク阿佐谷で,映画「タレンタイム 優しい歌」を見る.
「仮設の映画館」はネット上の映画館,ログインし映画をレンタルすると,自分の好きな劇場を指定して映画を見ることが出来る.鑑賞料金は,プラットフォームの使用料等を差引後,一般的な興行収入と同様に,指定された劇場と配給とで5:5で分配.さらに配給会社と製作者とで分配される.僕は地元の映画館,ユジク阿佐谷を選択した.
2009年.監督・脚本:ヤスミン・アフマド.出演:パメラ・チョン(ムルー),マヘシュ・ジュガル・キショール(マヘシュ),モハマド・シャフィー・ナスウィップ(ハフィズ),ハワード・ホン・カーホウ(カーホウ).
マレーシアのとある高校で,音楽・舞踊のコンテスト「タレンタイム」が開催される.予選を勝ち抜いた7名の学生が,リハーサルを重ね本番に臨む.ピアノの弾き語りをするムルーは英国系の祖母を持つムスリムの裕福な家庭の子,リハーサル中彼女の送り迎えを担当するマヘシュと恋に落ちるが,マヘシュは聾唖の学生で,その母はムスリムを嫌っていた.二胡を弾く中国系のカーホウは優等生だが,ギターで弾き語りをする転入生のハフィズに成績で抜かれ,反感を憶えている.一方ハフィズはインド系で母子家庭の子,母は闘病中であった….
多民族国家マレーシアで,民族・宗教・言語の異なる高校生達が,悩み恋愛し感情をぶつけ合いながら,タレンタイムに挑んでいく姿を描く.何といっても高校生達の瑞々しい感性の描写が素晴らしい.マヘシュとムルーのおずおずとした交際の進展は,何とも微笑ましい.ハフィズと母の病床での語らいのシーンや,母に恋の苦しみを訴えるマヘシュのシーンには,涙を禁じ得なかった.
全編を彩る音楽も,クラシックの名曲から高校生達の唄までいずれも印象的,特にハフィズが母を失った後のタレンタイム決勝で歌うバラードには心を打たれる.バランス良くテンポ良く,映像音楽も美しい好編.見て損はなし.★★★★(★5個が満点).
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