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2020/06/18

独断的映画感想文:源氏物語 浮舟

日記:2020年6月某日
映画「源氏物語 浮舟」を見る.1_20200629161301
1957年.監督:衣笠貞之助.
出演:長谷川一夫(薫の君(光源氏の嫡子)),山本富士子(浮舟(中の君の妹)),乙羽信子(中の君(匂宮の北の方)),市川雷蔵(匂宮(皇子)),阿井美千子(早蕨(右近の北の方)),浦路洋子(二の宮(皇女)),中村玉緒 (侍従(浮舟の侍女)),三益愛子(中将(浮舟の母)).
源氏物語のエピソードを北条秀治の原作で映画化.この時代の世情を背景とした物語になっているが,いくつかの点で違和感が.
一つはポスターに書き込んである宣伝文句が,この映画のテーマを心の純愛と体の野性との相克のように描いてあるが,映画の内容はそうではない.映画は匂の宮が虚言を弄して浮舟の館に踏み込み浮舟を手籠めにしたこと,浮舟も薫も処女性ということを問題にしていたこと,そのため悲観した浮舟が自死したことをからなる物語.3_20200629161301
映画が描くテーマは,源氏物語の元本とも大きく異なる.映画はむしろ伸びやかな野育ちの少女浮舟が,薫の生真面目な性格と匂の宮の人を人とも思わぬ好色のために犠牲となる悲劇を描いており,そういう映画として素直に見ればそこそこ面白い.
カメラや美術などは,この時代の日本映画の充実を感じさせ見ごたえあり.結末はわかっているが,浮舟を待つ運命が哀れで胸を打たれた.
★★★☆(★5個が満点).
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