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2020/07/09

独断的映画感想文:MOTHER マザー

日記:2020年7月某日
映画「MOTHER マザー」を見る.1_20200709173501
2020年.監督・脚本:大森立嗣.
出演:長澤まさみ(三隅秋子),阿部サダヲ(川田遼),郡司翔(周平 幼少期),奥平大兼(周平 少年期),夏帆(高橋亜矢),皆川猿時(宇治田守),仲野太賀(赤川圭一),木野花(三隅雅子).4_20200709173501
山寺香の著作「誰もボクを見ていない:なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか」を原案とする映画.
三隅秋子はシングルマザー.小学生の周平には父親から養育費を取っているが,自身は働かず男を作っては遊興し,親戚知人から借金しまくっている.新しい男川田遼とはラブホテルで暮らし,周平は学校にも行けず,秋子のために借金の調達に従事する.3_20200709173501
妊娠を機に川田に捨てられた秋子は,周平を実家への借金申込みに送り込むが….
およそ母親としての役割は果たせず,享楽的に過ごす一方で,周平との間に極めて強い絆を築いている秋子.周平も母親を慕い,秋子のために役に立とうと努力する.5_20200709173501
その後妹・冬華が生まれ,路上生活を交えて暮らしてきた秋子たちの5年後,一時は母子寮に部屋を得て,周平もフリースクールに通える様になるが,彼らを探していた川田がその一部屋に転げ込んでくる.
川田は遊興費をブラック金融で調達し,その結果秋子たちは母子寮から逃げ出さざるを得なくなる.どこまでもダメな母親に従い,働きながら妹の世話もする周平の,秋子への強い依存が心に残る.2_20200709173501
映画は緊張感に満ち,最後まで間断するところがない.長澤まさみと阿部サダヲの,ロクなものではないのに人を脅し上げるときだけ大声で強気に出る悪党ぶりや,弱気な時は子供にもすがるその演技は,それぞれ見応えあり.ただし,殺人に至る過程での母子双方の緊迫感は,やや物足らなかった.
ラストシーンの秋子の頑なでこわばった表情が,秋子と周平の救いのなさを告げていて,印象的.
★★★☆(★5個が満点).
なお,原案が描いている2014年に起こったこの殺人事件は,自分が3月に読んだ,葉真中顕の小説「ブルー」でモデルにされた事件と同一と思われる.そのため,原案の著作は未読だが,映画自体には強い既視感があった.
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