独断的映画感想文:夜汽車
日記:2020年7月某日
映画「夜汽車」を見る.
1987年.監督:山下耕作.
出演 十朱幸代(岡崎露子),秋吉久美子(岡崎里子),萬田久子(むら咲の蔦江),白都真理(花勇),新藤恵美(お辰),速水典子(牡丹),水野久美(政代),小林稔侍(梵天の信次),遠藤太津朗(百鬼勇之助),丹波哲郎(田村伊三郎),津川雅彦(溝上昇),萩原健一(田村征彦).
昭和10年,夜汽車で故郷高知に帰る露子.14年前妹を産んで母は死に,露子は父に山海楼の芸子に売られる.ところが父はその日のうちに博奕でその金を使い果たし,喧嘩を吹っ掛けて命を落とす.露子は妹を里子に出し,借金と妹の養育費を稼ぐために,日本中旅をして廻る.
高知に帰った露子は妹・里子を引き取り,山海楼の芸子勤めに復帰するが,そこで客の征彦と知り合い深い仲となる.征彦は田村組の跡取りながらやくざ稼業を嫌い,事業を立ち上げて大陸に渡る夢を見ていた.
ところが里子が結核を発病,征彦はその療養費を作ろうと汚職役人を強請り,そのため刺客に襲われ相手を刺して刑務所に入る.露子は再び借金を背負って全国を廻る旅に出る.
幸い里子の結核は寛解し退院するが,征彦が世話してくれた新居で,里子は征彦のものになった.旅から帰った露子はその事実を知り,二人の住む家を飛び出した….
これでまだ映画は前半.宮尾登美子の重厚な物語は延々と続く.演技陣も豪華で,萩原健一がきちんとした演技でしょうもないやくざ者をしっかり演じた.
特に十朱幸代は心身ともに充実した演技で,秋吉久美子とともに一人の男を愛した姉妹の葛藤を好演.終盤の人力車上のシーンで,傷ついた露子と病身の里子が語り合う,6分近い長回しの場面は,感銘的である.
★★★★(★5個が満点).
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