独断的映画感想文:友だちのうちはどこ?
日記:2020年8月某日
映画「友だちのうちはどこ?」を見る.
1987年.監督:アッバス・キアロスタミ.
出演:ババク・アハマッドプール(アハマッド),アハマッド・アハマッドプール(モハマッド・レザ・ネマツァデ),ホダバフシュ・デファイ(教師),イラン・オタリ(母).
イランの小学校,先生が宿題を調べている.アハマッドと同じ机の隣の子・モハマッドは,ノートでなく別の紙に宿題をしてきたので先生に叱られている.もう3回目だというので先生は次に同じことをしたら退学だと言い,モハマッドは泣き出してしまう.
さてアハマッドが家に帰ってきて,宿題をしようとすると,カバンから自分のノートとモハマッドのノートが出てきたので吃驚.間違って持って帰ってしまったのだ.このままではモハマッドは退学だ.気が気ではないアハマッドは,母親に隣村に住むモハマッドの家にノートを届けに行くと言うが,母親に話は通じず自分の宿題を先にやるようにと叱られてしまう.
スキを見てノートを手に飛び出したアハマッド,山を越え谷を越えてポテシュ村に行くが,モハマッドの家は誰に聞いても判らない.モハマッドのいとこの家が判って行ってみるが,そのいとこは自分の村コケル村に行ったという.慌ててまた谷を越え山を越えコケル村に戻るアハマッド.コケル村に着くとお爺さんに捕まって煙草を持ってくるようにと言いつかるが,煙草は見つからないしそれどころではない.お爺さんと話をしていた人がモハマッドと同じ姓のネマツァデというので,ロバに乗って帰るその人の後を追ってまたポテシュ村まで走っていくが….
日本公開は1993年,小津安二郎のファンを自任する監督のこの作品は,87年のファジル国際映画祭で最優秀監督賞,93年度のキネマ旬報ベストテンで第8位.
演じるのはすべて当地に住む人々だ.アハマッドの優しく一途な行動が印象的.もう日が落ちたのにまだモハマッドの家は見つからず,闇や犬の吠え声にびくびくしながらまだ懸命に探すアハマッド.親切な老人が連れて行ってあげると言ってくれたが,行ってみたその家は違う家だった.アハマッドは老人ががっかりするのが気の毒で,ノートを隠し用事が済んだふりをして帰ることにする.このあたりも感銘的.
ところで結局モハマッドの家は見つからなかったのだ.打ちひしがれて帰宅したアハマッドを,母親が無言でそれとなく労わる.ラストシーン,翌日の学校でモハマッドはどうなるのか?これが最後のちょっとしたミステリーだが,正解はアハマッドがモハマッドの分まで宿題をしてきてあげたのだった.ああ良かった.良い映画です.ネット上にまだ残っている淀長さんの感想記事も素晴らしい(http://www.sankei.co.jp/enak/yodogawa/93/93friendshome.html).
★★★★(★5個が満点).
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