独断的映画感想文:真実
日記:2020年8月某日
映画「真実」を見る. 2019年.監督:是枝裕和.
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ(ファビエンヌ・ダジュヴィル),ジュリエット・ビノシュ(リュミール),イーサン・ホーク(ハンク・クーパー),リュディヴィーヌ・サニエ(アンナ・ルロワ),クレマンチヌ・グレニエ(シャルロット),マノン・クラヴェル(マノン・ルノワール),アラン・リボル(リュック),クリスチャン・クラエ(ジャック),ロジェ・ヴァン・オール(ピエール). 国民的大女優ファビエンヌが自伝「真実」を出版,娘で脚本家のリュミールは,TV俳優の夫ハンク,娘シャルロットとともに,お祝いのためアメリカから帰国する.
同居する今の夫で料理番のジャック,長年勤める秘書のリュックの他,前夫のピエールも現れる.今まで誰も知らなかった自伝の中身,何とピエールはとっくに死んだことになっていた.
一方リュミールは,早世したファビエンヌの妹で女優のサラについて,全く触れていないことでファビエンヌを責める.他方,リュックは自伝に自身のことが全く触れられていないことにショックを受けたと,退職を申し出さっさと田舎に引っ込んでしまった.
やむなく秘書役を代行するリュミールは,家族とともにファビエンヌの撮影現場を訪れる.そこではサラの再来と言われる新進女優・マノン主演の「母の記憶に」の撮影中.この映画は,難病のため宇宙で暮らし7年に一度地球に帰る母と,地球で母を追い越して年老いていく娘の物語だった…. 母と娘の確執と再生がテーマの人情コメディ.
劇中映画と本編とで,並行して展開する母娘の物語が興味深い.劇中映画で語られる,女優の演技をめぐる張り合いやぶつかり合いも印象的.
また,リュックを慰留するための説得の脚本をリュミールに依頼したり,実際の慰留の場面ではそれがリュックにバレバレで,「今のは脚本ですか」と聞かれて思わず「今のはあたしの気持ちよ」と答えてしまう場面も面白い. ファビエンヌがシャルロットに,庭の亀ピエールは魔法で亀にされてしまった前夫ピエールだと信じ込ませるギャグも,おかしい(亀ピエールと前夫ピエールは何故か同時には登場しないのだ).
映画周りのネタが潤沢に散りばめられた映画,肩の凝らない楽しめる作品である. ★★★☆(★5個が満点).
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