番外:独断的歌舞伎感想文 八月花形歌舞伎 吉野山/源氏店
日記:2020年8月某日
歌舞伎座で「八月花形歌舞伎」を見る.
第三部:「義経千本桜 吉野山(よしのやま)」.出演:佐藤忠信実は源九郎狐(猿之助),逸見藤太(猿弥),静御前(七之助).第四部:三世瀬川如皐作.「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし) 源氏店」.出演:切られ与三郎(幸四郎),妾お富(児太郎),番頭藤八(片岡亀蔵),和泉屋多左衛門(中車),蝙蝠の安五郎(彌十郎).
今年2月以来の歌舞伎座,入場時体温チェック,切符半券は自分でもぎる等して入ると,中はマスク着用,出店は休業,大向こう禁止私語禁止,飲食禁止.これほど静かな歌舞伎座は初めて見た.
吉野山は,後半御着背長を取り出して壇ノ浦の戦闘を語る場面から俄然躍動感が出てきて,猿弥の逸見藤太とのやり取りから狐の本性を現した忠信の引っ込みまで,生き生きとした舞台を堪能,猿之助の身体能力には驚嘆するしかない.
源氏店は,幸四郎のいかにも育ちの良い与三郎の演技が共感できる.こうもり安に言う「そんなにいわなくってもいいじゃァないか」というセリフが,小悪党の心情がしみて哀切である.中車の旦那が立派,女中の芝のぶちゃんが久しぶりで嬉しい.児太郎,亀蔵,彌十郎はいろいろ制約があったせいかはじけ切れずの感あり.
大向禁止なのだから,観客も拍手するタイミングをそれなりに勉強しなければいけないかも知れないな.
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