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2020/08/05

独断的映画感想文:COLD WAR あの歌、2つの心

日記:2020年8月某日
映画「COLD WAR あの歌、2つの心」を見る.Cold-war0
2018年.監督:パヴェウ・パヴリコフスキ.
出演:ヨアンナ・クーリク(ズーラ),トマシュ・コット(ヴィクトル),アガタ・クレシャ(イレーナ),ボリス・シィツ(カチマレク),ジャンヌ・バリバール(ジュリエット),セドリック・カーン(ミシェル).Cold-war12
1949年のポーランド,ピアニストのヴィクトルとダンサーのイレーナは,さまざまな民族音楽・舞踊を収集している.やがて彼らは党官僚のカチマレクと共に全国から若い男女を公募して,マズレク音楽舞踊団を組織する.
舞踊団は成功し,党からも高い評価を得るが,その代わり党や友好国のプロパガンダの歌曲を歌うよう強いられる.ヴィクトルとマズレクの人気歌手ズーラは愛し合うようになるが,ズーラはカチマレクに命じられヴィクトルを監視・密告していたことを告白する.Cold-war32
やがてヴィクトルはベルリン公演の機会に西ベルリンへの亡命を決行するが,待ち合わせの場所にズーラは来なかった….
その後ヴィクトルはパリでジャズコンボ・レクリプスで成功し,一時はズーラも合法的にパリを訪れてレクリプスでの共演も果たすが,ズーラの帰国でその関係も絶たれる.Cold-war33
映画はこの厳しく辛い時代の男女の運命を,事実関係の描写と大胆に時間を飛び越えていく場面転換で,描いていく.様々な関係と距離を取りながらも,この二人が他からは窺い知れない深い情愛で結ばれていることを,観客は知るだろう.
その映画の最後のシーン(1964年),ヴィクトルとズーラは夕日を浴びて畑のあぜ道にあるベンチに手を取り合って座っている.やがてズーラが促し,二人は手をつないで画面から去っていく.カメラはそのベンチを映し続ける.Cold-war4
ここに至る過程を既に知っている観客にとって,哀切極まりない幕切れである.
白黒の映像も映画の主題にふさわしく,またマズレクでズーラが歌い,レプリクスの舞台でジャズ風にアレンジして歌った「2つの心 4つの瞳」の歌も感銘的だ.Cold-war5
観客の心に種々の想念を巻き起こす映画らしい映画,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点).
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