独断的映画感想文:映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
日記:2020年10月某日
映画「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」を見る.
2017年.監督:石井裕也.
出演:石橋静河(美香),池松壮亮(慎二),佐藤玲(玲),三浦貴大(牧田),ポール・マグサリン(アンドレス),市川実日子(美香の母),松田龍平(智之),田中哲司(岩下).
慎二は建築現場で雑役を務める若者,同僚に智之,岩下,アンドレスらがいる.アンドレスは技能実習生,岩下は年かさの男で腰痛持ち.
美香は看護師で働く傍ら,夜はガールズバーで働く.慎二らはある日出かけたガールズバーで美香に出会い,智之は美香とデートすることに成功する.ところが智之は突然脳卒中で急死,慎二はその葬儀に来た美香と会う.その後つきあう様になった二人だが….
智之の他にも,慎二が隣付き合いをしている老人の孤独死,慎二と美香がつきあうきっかけになった電車の人身事故等,死と隣り合わせの人生を意識させる映画.
慎二は左目の視界がほとんどなく,普通の人とは違う人生を覚悟している.美香は自死したらしい母のことを病死と言い続ける父に激しい違和感を持っている.二人とも自分を肯定できず,極端に黙っていたり突然饒舌になったりする点が共通している.
そんな二人が生きる不器用な人生,付き合い始めてからも率直に愛を語りだせない二人の,ひりひりするような時間が続く.
しかし映画の終盤,それまで「この子売れないよ」と美香が言っていたストリートミュージシャンを宣伝するビジョントラックが,街を通り抜けていく.それを見送る二人の明るい表情が,印象的だ.
池松壮亮,石橋静河が素晴らしい.彼らの暮らす東京の夜景がたびたび描かれるが,宝石のように美しい.多くのクソみたいなことが満ち溢れていても,やはり人生には値打ちがある.
★★★★(★5個が満点).
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