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2021年1月に作成された記事

2021/01/31

独断的映画感想文:ジョン・ウィック:パラベラム

日記:2021年1月某日
映画「ジョン・ウィック:パラベラム」を見る.1_20210204215101 2019年.監督:チャド・スタエルスキ.
出演:キアヌ・リーヴス(ジョン・ウィック),ハル・ベリー(ソフィア),イアン・マクシェーン(ウィンストン),ローレンス・フィッシュバーン(バワリー・キング),マーク・ダカスコス(ゼロ),エイジア・ケイト・ディロン(裁定人),ランス・レディック(シャロン),アンジェリカ・ヒューストン(ディレクター).
前作ジョン・ウィック2で,私的争闘の相手サンティーノを禁止されているコンティネンタル・ホテル内で殺害したジョン.これを咎めた主席連合から抹殺の指令が出て,すべての殺し屋がジョンを襲ってくる.愛犬をコンチネンタルホテルに預け,死闘の末相手を返り討ちにしたジョンは,バレー劇場に生まれ故郷ベラルーシのN.Y.における指導者を訪ね,カサブランカへの渡航を依頼する.3_20210204215101 カサブランカで「血の誓印」の貸があるソフィアを訪ねたジョンは,その紹介で当地のボス・ベラダに会い,主席連合のエルダーに会う方法を教えられる.しかし,ベラダがソフィアの愛犬を射殺したことで,ソフィアとジョンはベラダ一味を全滅させる激闘を戦う羽目になる.
翌日砂漠に出たジョンはエルダーに会い,左薬指を代償にしてエルダーへの忠誠を受け入れられるが,その交換条件はコンチネンタルホテルの旧友ウィンストンの殺害だった.2_20210204215101 一方N.Y.に現れた主席連合の裁定人は,ジョンをかばった全ての人に罪を宣告,ジョンの旧友バウリー・キングは部下を殺され全身を切られ,コンチネンタルホテルの支配人ウィンストンは更迭を命じられる.孤立無援のままウィンストン殺害のためN.Y.に着いたジョンを,裁定人の意向を受けたゼロに率いられた忍者の群れが襲うが….6_20210204215101
全編殺し合いの映画,しかもシリーズ物の常として物語はますます複雑怪奇になる一方.
にもかかわらずこの映画の力はどうだ,特にジョンとソフィアがその愛犬2頭と共に戦うベラダ一味との死闘は,ストーリーとしては不要としか思えないのに,その映像的魅力はかけがえがない.5_20210204215101 全編を貫くジョン・ウィックの信念は,組織の殺し屋としてほとんど無意味としか思えないのに,そのことに命を懸ける.そこに観客が共感するところが,この映画の魅力なのだろう.忍者集団の統領ゼロ,彼に命令を下す裁定人もなかなかに魅力あり.4_20210204215101 ★★★★(★5個が満点)
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2021/01/25

独断的映画感想文:閉鎖病棟 それぞれの朝

日記:2021年1月某日
映画「閉鎖病棟 それぞれの朝」を見る.
2019年.監督:平山秀幸.1_20210329181801
出演:笑福亭鶴瓶(梶木秀丸),綾野剛(塚本中弥(チュウさん)),小松菜奈(島崎由紀),坂東龍汰(丸井昭八),平岩紙(キモ姉),片岡礼子(島崎佳代),山中崇(島崎伸夫),根岸季衣(塚本富子),ベンガル(酒井),高橋和也(大谷),木野花(石田サナエ),渋川清彦(重宗),小林聡美(井波).
映画の冒頭,梶木秀丸の死刑シーン.絞首刑に処せられた秀丸は蘇生し,処分に困った法務省は,彼を地方の精神病院に送ることにする.
長野県の六王子病院では,梶木秀丸のほか,幻聴が聞こえると暴れだす塚本中弥らが在院する.
ある日母親に連れられ,島崎由紀が受診する.突然の不登校引きこもりで連れてこられたのだ.受診中由紀は突然部屋を飛び出し,屋上から飛び降りる.植木の上に落ちて擦り傷で済んだ由紀は,しばらく入院することになる.5_20210329181801
かたくなだった由紀は,秀丸に陶器作りを習い,他の患者とも次第に打ち解けていく.しかし覚せい剤常習者・重宗が入院してくると院内の雰囲気は一変する….2_20210329181801
精神病院を舞台とした人間ドラマ.院内で起こった重大事件の経緯を追って,終盤のドラマが進行する.笑福亭鶴瓶,綾野剛,小松菜奈らは好演,映画全体のテンポや緊張感もそこそこ良い.しかし物語の前提がいい加減で,現実感がない.
精神病院で受診中の患者が,病院の屋上に何の障害もなく到達して飛び降りてしまうというシーンは,そのありえない病院の構造にびっくりしてしまう.覚せい剤常用の重宗が院内を他の患者を威圧して歩き,事件を起こして平然としている状況も,精神病院としてあり得ないことだ.
そもそもこの病棟は「閉鎖病棟」なのだろうか?
★★(★5個が満点).
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2021/01/17

番外:独断的歌舞伎感想文 壽 初春大歌舞伎 第1部 壽浅草柱建(ことほぎてはながたつどうはしらだて)/悪太郎(あくたろう)

日記:2021年1月某日
歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎 第1部」を見る.Kabukiza2101_h1000_27bcc7a326c8c0b6cc064 「一、壽浅草柱建(ことほぎてはながたつどうはしらだて)」.出演:曽我五郎時致(松也),曽我十郎祐成(隼人),小林朝比奈(巳之助),大磯の虎(米吉),化粧坂少将(莟玉),喜瀬川亀鶴(鶴松),茶道珍斎(種之助),小林妹舞鶴(新悟),工藤左衛門祐経(歌昇).岡村柿紅 作.「二、猿翁十種の内 悪太郎(あくたろう)」.出演:悪太郎(猿之助),修行者智蓮坊(中村福之助),太郎冠者(鷹之資),伯父安木松之丞(猿弥).
柱建は曽我物の翻案で,主要人物が出揃って柱建の慶事の後の直来で,それぞれに踊りを披露するという設定.若手の浅草歌舞伎が今年は中止になったので,代わりにここに若手が勢ぞろいすることになった.一時休演していた莟玉も復帰してきれいどころが揃いなかなかに華やか,巳之助,歌昇らも良く声が出て楽しかった.
悪太郎は,酒乱の悪太郎を太郎冠者と伯父がやっつける狂言に基づいた舞踊劇.猿之助がやりたい放題の悪太郎を,軽妙に演じる.通りすがりの修行僧・智蓮坊との絡みが長いが,福之助もよく頑張った.
芝居を見て改めて今はまだ正月なのだったと思い出す.芝居とはありがたいものである.
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2021/01/10

独断的映画感想文:リチャード・ジュエル

日記:2021年1月某日
映画「リチャード・ジュエル」を見る.1_20210110211901
2019年.監督:クリント・イーストウッド.
出演:ポール・ウォルター・ハウザー(リチャード・ジュエル),サム・ロックウェル(ワトソン・ブライアント),キャシー・ベイツ(ボビ・ジュエル),ジョン・ハム(トム・ショウ),オリヴィア・ワイルド(キャシー・スクラッグス),ニナ・アリアンダ(ナディア).5_20210110211901
1986年アトランタ,中小企業局の備品係として働いていたリチャード・ジュエルは,法執行官になることを夢見る正義感の強い男.スタッフの中で唯一リチャードを対等に扱ってくれたワトソンは,転職の挨拶に来た彼に,法執行官になってもゲスな警官にはなるなと餞別をくれる.
10年後,副保安官や大学警備員の仕事に就いたリチャード,しかしやることが一途過ぎてうまくいかない.大学警備員も学生に厳しく当たり過ぎて学長からクビを言い渡される.この年はアトランタオリンピックの年,リチャードはアトラクションの開催される公園の警備スタッフに採用され,本職の警官に交じって警備にあたる.コンサート中怪しいデイパックをベンチの下に発見したリチャードは警官に報告し,手順に従い専門家を呼ぶべきと主張,やってきた爆弾処理班はまさに爆弾を確認する.3_20210110211901
手分けして群衆を避難させ,また自分の持ち場の音響スタッフを退避させたリチャード,爆弾はさく裂し死傷者が出たが,リチャードは爆弾発見の英雄として称賛される.一方犯人の目星がつかないFBIは,学長からリチャード自身が爆弾犯では?と通報されたことから彼を重要参考人として監視,これを知った地元紙の記者キャシーは,リチャードを実名で容疑者として報道する.
あっという間に自宅はマスメディアに包囲され,FBIからは家宅捜索・尋問を受けるリチャード.彼は今は個人弁護士事務所を開設しているワトソンに弁護を依頼するが….4_20210110211901
実話に基づく物語.容疑者とされても,リチャードは生真面目で物事を真に受ける性格,法執行官への仲間意識もあってFBIの仕掛ける罠にはまっていくのを,ワトソンが必死に防衛する.FBIを向こうに回してリチャードとその母,ワトソンとその助手ナディアの懸命の闘いが続く.2_20210110211901
それほど劇的な起伏があるわけではないのに,緊張感は高く維持され,淡々と進む物語を一気に見た思いだ.終盤でついにFBIと真っ向から対決するに至ったリチャードが,一回りも二回りも大きな人物として立ち現れるシーンが印象的.サム・ロックウェル,キャシー・ベイツも素晴らしい演技だ.
★★★★(★5個が満点).
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2021/01/03

番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場令和3年初春歌舞伎公演「四天王御江戸鏑(してんのうおえどのかぶらや)」

日記:2021年1月某日
国立劇場で令和3年初春歌舞伎公演「四天王御江戸鏑(してんのうおえどのかぶらや)」を見る.R0301kabuki_flyer_f
福森久助=作,尾上菊五郎=監修,国立劇場文芸研究会=補綴.「通し狂言 四天王御江戸鏑 (してんのうおえどのかぶらや) 四幕六場 国立劇場美術係=美術.
序幕 相馬御所の場,二幕目 第一場 羅生門河岸中根屋座敷の場,第二場 同 花咲部屋の場,三幕目 第一場 二条大宮源頼光館の場,第二場 同 寝所の場,大詰 北野天満宮の場」.
配役:鳶頭中組の綱五郎実ハ渡辺源次綱(尾上菊五郎),茨木婆実ハ良門伯母真柴/一条院(中村時蔵),相馬太郎良門/平井左衛門尉保昌/袴垂保輔(尾上松緑),女郎花咲実ハ葛城山の土蜘蛛の精/大宅太郎光圀(尾上菊之助),やきいもの金/碓井靫負尉貞光(坂東彦三郎),はらぶとの福/酒田主馬佑公時(坂東亀蔵),源頼光(中村梅枝),三番叟/卜部勘解由季武(中村萬太郎),鰈七郎盛付(市村竹松),弁の内侍(尾上右近),鮃九郎一裂(市村光),たるぬきの正(市村橘太郎),伴森右衛門(片岡亀蔵),皮肉の喜兵衛(河原崎権十郎),豊後次郎忠政(坂東秀調),鰊の局(市村萬次郎),西光坊天山(市川團蔵),星鮫入道蒲鉾(坂東楽善).
時はいつの頃かわからないが,平将門の遺児・良門が,葛城山の土蜘蛛の精と結んで都を騒がせ,これを源の頼光麾下の四天王が討つという物語.
四天王の中でも渡辺の綱が実は街場の棟梁綱五郎で,これが土蜘蛛の精・女郎花咲と朝廷の使者・弁の内侍の両方から結婚を迫られ,もててもてて困るという第二幕が一番面白い.菊五郎がはまり役,右近と菊之助が美しく(特に右近のあだっぽさは素晴らしい),くすぐりネタもちりばめられて楽しかった.
物語の展開も意外性に富んで,お正月らしい勇壮でふくらみのある作品.見てよかった.
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