番外:独断的歌舞伎感想文 二月大歌舞伎第3部 袖萩祭文/連獅子
日記:2021年2月某日
歌舞伎座で「二月大歌舞伎第3部」を見る.
十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言.「一、奥州安達原(おうしゅうあだちがはら) 袖萩祭文」.出演:袖萩(七之助),安倍貞任(勘九郎),娘お君(長三郎),義家の郎党(種之助),義家の郎党(玉太郎),義家の郎党(歌之助),義家の郎党(莟玉),安倍宗任(芝翫),平傔仗直方(歌六),浜夕(東蔵),八幡太郎義家(梅玉).十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言・河竹黙阿弥 作「二、連獅子(れんじし)」.出演:狂言師右近後に親獅子の精(勘九郎),狂言師左近後に仔獅子の精(勘太郎),法華の僧蓮念(鶴松),浄土の僧遍念(萬太郎).
袖萩祭文はここに至る経緯が複雑で,この場面を見ただけでは何が何やらわからない.直方が預かる皇子・環宮が行方不明,その責任を取って切腹という夕方,奥には次女の夫:八幡太郎義家,勅使:桂中納言も来ている.そこに父の危急を聞いて現れた長女袖萩は義家の宿敵・安倍の貞任の妻の身,しかし今は娘お君を伴う盲目の女乞食である.袖萩は家に入ることを許されず,戸外で不幸を詫びる祭文を語った後,父直方の切腹を追うように自害する.桂中納言は実は安倍の貞任であることが義家に見抜かれ,戦場での再会を約して弟宗任と共に去る.という古い時代の奥州の物語なのだが,今回は勘九郎・七之助のキャラを出し過ぎた感あり.重厚な背景を背負った古い時代の悲劇という印象がやや薄かった.7歳の長三郎は長丁場をほぼ出ずっぱりでよく頑張った.
連獅子は勘太郎(もうすぐ10歳)が奮闘,2001年に茨木で渡辺の綱の小姓を踊った尾上右近(当時岡村研佑9歳半)を彷彿とさせる.役に対する本気の構えが素晴らしい.父勘九郎ともども印象的な連獅子.
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