独断的映画感想文:パリの家族たち
日記:2021年3月某日
映画「パリの家族たち」を見る. 2018年.監督:マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール.
出演:オドレイ・フルーロ(アンヌ),クロチルド・クロ(ダフネ),オリヴィア・コート(ナタリー),パスカル・アルビロ(イザベル),ジャンヌ・ローザ(ブランシュ),カルメン・マウラ(テレーズ),ニコール・ガルシア(アリアン),ヴァンサン・ドゥディエンヌ(スタン),マリー=クリスティーヌ・バロー(ジャクリーヌ),パスカル・ドゥモロン(ジャック),ギュスタヴ・ケルヴェン(グレゴワール),ノエミ・メルラン(ココ),グザヴィエ・マリー(シャルル),ロリータ・シャマー(ドミニク),メディ・ブディナ(フレッド). 母と子どもたちの関係を描く群像劇.
ダフネ,ナタリー,イザベルは3人姉妹.母ジャクリーヌは詩人だが認知症が進んでいて,娘たちはその世話に困惑し,また必ずしも良き母親ではなかった彼女に反発している.ダフネはインタビュアーでシングルマザー.娘は思春期になりかかり,息子はまだ幼い.2人の世話はナニーのテレーズが親身に見ているが,テレーズは実は初の女性フランス大統領アンヌの母親である.
ナタリーは大学教授,母性への反発を隠さず,自身は教え子のフレッドとの恋愛を楽しんでいる.イザベルは医者で養子を迎えることを考えている. フレッドの通うタップダンス教室には,舞台女優マリアンが脳梗塞後のリハビリを兼ねて通っている.その息子のスタンはカフェを営むが,母が心配で過剰に母に干渉する一方,恋人のココが妊娠しているのにも気が付かない.
ココが働いている花屋は叔父のジャックが店主,ジャックは死んだ母親の強い影響を自覚しつつ,ゲイである自分をなかなか正当化できない.
大統領アンヌは任期中に出産をし3か月の愛児を育てているが,大統領の立場に自信を失いかけている….
出だしは大勢の登場人物の物語が一斉に進行し始め混乱しがちな群像劇だが,嫌いではない.慣れてくるといろいろな場面で行き交う登場人物たちの関係もわかってきて,がぜん面白くなってくる.
本作はテンポも良く,それぞれの登場人物への目配りもバランスよい.何よりメインのテーマの母子関係の様々なありようが興味深い.映画を通じて各登場人物は,何らかの形で母子関係の悩みを一歩前進させるヒントをつかむようだ.
終盤,母の日に国民向けに単独インタビューに応じる決断をしたアンヌが,ダフネの問いに,母として自信をもって再選に臨むと答えるシーンが印象的だ.
★★★★(★5個が満点)
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